老舗旅館、カフェ&ホテルで再出発 日田市の「山陽館」 福岡の女性客狙う

西日本新聞 大分・日田玖珠版 中山 雄介

 日田市隈の老舗旅館「山陽館」が100年以上続いた看板を外し、11月からカフェを売りにしたホテル「カッフェル ひなのさと」として再出発した。専務取締役の麻生くみさん(41)は、日田の観光客減少に危機感を抱き、「何もしなければ廃れてしまう」とリニューアルに踏み切ったという。ゆっくりと時間を過ごせるホテルとして、日田に新風を吹かせる。

 山陽館は1906年の創業。江戸時代の儒学者、頼山陽が近くに滞在したことから名前が付けられた由緒ある旅館で、49年には昭和天皇も宿泊した。6階建てで客室数は約40室。

 麻生さんが新たな挑戦を決意したのは、宿泊者の減少を目の当たりにしてきたから。2005年に年間2万人以上いた宿泊者は昨年は1万6千人に。日田市全体の観光客が減っており、市観光課によると、日田市中心部の年間宿泊者は、サッポロビール九州日田工場ができた2000年の32万人が昨年は20万人になっている。

 麻生さんは、福岡都市圏の女性客を新たなターゲットとし、ひなのさとでは、日々の慌ただしい生活を離れて疲れを癒やせる落ち着いた空間づくりを意識した。ロビーのテレビをなくし、流れるのは麻生さんが趣味で集めた井上陽水さんらのレコード。雑誌をゆっくり読めるなど、くつろげるカフェになっている。

 食事も、これまでの懐石料理から「洋」中心のメニューに変更。値段が比較的高かった三隈川の屋形船での宴会プランはやめ、短時間でクルージングする手頃なプランに変えた。

 屋形船の船頭からは「伝統を壊すのか」と苦言を呈され、「以前の懐石料理が食べたい」と渋る常連客もいる。ただ、これまでの状態を痛いほど知る麻生さんは力を込める。「伝統を守るだけでは、お客さんは来ない。これは生き残りをかけた挑戦です」 (中山雄介)

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