森の魅力、母子で発信 御船町の国武さん 林業の傍ら玩具、家造りも

西日本新聞 熊本版 壇 知里

 林業の楽しさや森の魅力を発信する親子が御船町にいる。趣味からのスタートだったが、「美しい森を守りたい」と4年前から本業に。学校で講師を務めたり、地元の木を使ったおもちゃを制作・販売したりと、幅広い活動に取り組む。山林を手入れする「山師」と自ら名乗り、若い世代に情報発信する2人。林業界の「インフルエンサー」として、県や企業から協力要請が相次いでいる。

 親子は国武信子さん(58)と一人息子の智仁さん(29)。ともに林業とは無縁の生活だった。きっかけは信子さんの離婚。「自給自足の生活を極めたい」と当時中学1年の智仁さんを連れて熊本市から御船町に移住。自宅近くの山でタケノコやシイタケの栽培を楽しむ中で、「森がきれいな水を育むことで、農業や漁業が豊かになるのでは」と考え、林業に興味を持った。

 信子さんは訪問介護の仕事を辞め、51歳で阿蘇市の林業家に弟子入り。週1回通って伐採の技術を学び、数年後には一人で仕事を引き受けるようになった。手伝いをしていた智仁さんも興味を持ち、飲食店の仕事を辞めて技術を学んだ。2015年に親子で「国武林業」を起業。伐採や下刈り作業を請け負う傍ら、日々の取り組みを会員制交流サイト(SNS)で発信している。

 違法伐採や大規模な商業伐採による森林破壊が世界的な問題となる中、「安全で持続可能な森づくり」を会社の理念に掲げる。信子さんは、木材も「生産から流通までトレーサビリティー(履歴)がある仕組みにしたい」と「木の地産地消」を提唱。設計会社とタッグを組んで地元材を使った家造りに取り組むほか、最近では廃材で作るアクセサリーやおもちゃを売り出し、人気を呼んでいる。3人の従業員は全員20代で、2人の活動に引き付けられて林業を志した。

 今年に入り、県の依頼でくまもと林業大学校の講師を務めるほか、大分県日田市の防護服代理店でPRを担う。町の飲食店や家具店などから声が掛かり、イベントを共催することも。伐採や木登りを実演し、観客の歓声を浴びる。「きつくて古いイメージを持たれがちですが、今の林業はめちゃくちゃかっこいいんですよ」と智仁さん。

 林業に触れて約10年。2人の夢は「宇宙一の山師になる」。これからも森の未来を考えながら二人三脚の活動を続ける。(壇知里)

熊本県の天気予報

PR

熊本 アクセスランキング

PR

注目のテーマ