「多弱野党」1強を助長 民主党の失敗 今も影 安倍最長政権

西日本新聞 総合面 鶴 加寿子

 安倍晋三首相が歴代最長の長期政権を築き上げた大きな要因に、政権批判の「受け皿」になりきれない野党の存在がある。民主党政権の失敗を引きずり、対立と分裂で力を弱めていった野党の「敵失」と、国政選挙のたびに「消極的選択」を重ねる民意に支えられ、図らずも「安倍1強」が続いている構図だ。

 「安倍政権が長いのは、それだけ野党の力不足だということだ」「私たちがだらしなかった」

 首相の通算在職日数が歴代最長の桂太郎と並んだ19日、立憲民主党の福山哲郎幹事長ら野党幹部は口々に反省の弁を述べた。

 10月末以降、2閣僚辞任や大学入試の英語民間検定試験導入見送り、「桜を見る会」問題など政権は逆風にさらされる。だが報道各社が行った先週末の世論調査によると、内閣支持率が下落したにもかかわらず、野党各党への支持率は微増かほぼ横ばいだった。

 2012年衆院選で政権の座から転落した民主党はその後、立民、国民民主、無所属などに四分五裂し、もはや影も形もない。だが首相にとって民主党は今も都合のいい「仮想敵」であり続ける。

 首相は国会論戦で事あるごとに経済が低迷した旧政権時代のデータを持ち出し、野党議員のアベノミクス批判に反論。今夏の参院選では「悪夢のような民主党時代に戻すわけにはいかない」と繰り返した。立民の逢坂誠二政調会長は「首相は徹底的に民主党時代に悪いイメージを植え付けている。それが長く続く柱の一つだ」と批判する。

 ただ、その立民は幹部の多くが枝野幸男代表ら旧政権の中心メンバーだ。民進党時代には、当時衆院当選2回だった山尾志桜里氏の幹事長起用が浮上したが、山尾氏のスキャンダルで消えて以来、旧政権のイメージ刷新を担う人材がなかなか出てこない。

 野党は首相の「争点つぶし」にも手をこまねいている。同一労働同一賃金や給付型奨学金充実など、野党の看板政策を取り込む首相の戦略に翻弄(ほんろう)され、対立軸を消されてきた。

 首相は14年11月の衆院解散で消費税増税の先送りを表明し、17年9月の衆院解散時には増税分の税収を幼児教育・保育の無償化に充てる使途変更を掲げた。「いずれも私たちが反対しづらいテーマだった」と国民の中堅議員。第2次安倍政権で行われた大型国政選挙で野党は5連敗中だ。

 国民の玉木雄一郎代表は安倍政権について「野党が言ってきたことをパクるしかなくなるほど、政策的な資源が減っている」とみる。その上で次期衆院選での政権批判の受け皿づくりに向け「次の10年を見据え、新たな政策を掲げて堂々と論争を繰り広げなければならない時期に来た」と話す。 (鶴加寿子)

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