【動画あり】逃げるか、残るか…「自首は自殺行為」 香港学生の葛藤

西日本新聞 一面 川原田 健雄

 【香港・川原田健雄】デモ隊と警察がにらみ合う香港理工大では19日も、多数の学生らが立てこもりを続けた。「逃げるか、残るか、外の救援を待つか、なかなか決められない」。学内に残る学生は、西日本新聞の取材に追い詰められた胸の内を明かした。警察の包囲網をかいくぐって外に出た若者は、緊迫の脱出劇を語った。

 「食べ物がかなり減った。水は足りているけど、催涙ガスで汚染されているかもしれない」。理工大1年のアキさん=仮称=は、19日未明から断続的に会員制交流サイト(SNS)を通じた取材に応じた。図書館で寝泊まりし、食事のたびに仲間と脱出方法を話し合うという。警察は投降を呼び掛けるが「それは自殺行為。自首すれば暴動罪で起訴される」と不信感を募らせた。

 脱出すべきか、否か-。アキさんが19日午後、SNS上で友人に意見を求めると7割超が「脱出」を勧めた。数時間後、アキさんは「2日後に会いましょう」と書き残し、連絡が途絶えた。警察に捕まっても証拠不十分で起訴されなければ48時間で釈放される。ネット上には「捕まっても『催涙弾が怖くて外に出られなかった』と言えば起訴されない」という書き込みがあり、アキさんもそれを狙って外に出たようだ。逮捕されたかは不明だ。

   ◇    ◇

 デモ隊の「救護班」として活動する男性(27)は18日夕、理工大の北端にある施設から学外へ逃げた。きっかけは「警官が交代する夕方は夜間より警備が手薄だ」というSNSの情報。脱出ルートを調べて賛同者を募り、約30人で一斉に大学施設を囲む金網をよじ登った。

 「見張りの警官がよそ見していた。運が良かった」。近くの道路に出た後、上り坂を数百メートル走って外部支援者の車約10台に乗り込んだ。途中で気付いた警官隊が催涙弾を放ち、白煙に巻かれた5人が逃げ切れなかった。「逃げ切った安心より、全員助からなかったことがショックだった」

 男性によると、18日午後時点では学内に約400人の若者がおり、警察の放水で約20人が低体温症にかかっていた。「精神的に深刻なダメージを受けている若者もいた」という。

 「学内ではどうやって逃げるか口論が絶えなかった」と男性。一方で「政府や警察に対する怒りはみんな消えない。理工大が鎮圧されてもデモはもっとひどくなる」と言い切った。

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