「レガシー」という言葉をよく聞く…

西日本新聞 オピニオン面

 「レガシー」という言葉をよく聞く。英語で「遺産」。本来、故人が残した財産などを指すが、「後世に業績として評価されるもの」との意味で使われるように。「東京五輪のレガシー」と言えば、大会が残した成果や影響のことだ

▼政治的業績もレガシーと呼ばれる。きょう、首相在職日数が戦前の桂太郎を抜いて憲政史上最長となる安倍晋三首相は、どのようなレガシーを残すのだろうか

▼先達を振り返れば、桂は日英同盟を結び、日露戦争、日韓併合を遂行。大逆事件で社会主義者を弾圧した。桂に次ぐ長さの佐藤栄作は、日韓国交正常化、沖縄返還を実現し、非核三原則を唱えてノーベル平和賞を受賞した

▼その次は初代首相の伊藤博文。明治憲法立案に当たり、枢密院、貴族院の初代議長も歴任した。3人とも教科書に載るレガシーを残した

▼そうそうたる顔ぶれを追い越した安倍氏の最大の望みは憲法改正とされる。現行憲法は占領軍の押し付けと考えて自主憲法の制定を目指す人々の悲願であり、安倍氏の支持層とも重なる

▼レガシーには「時代遅れのもの」との意味も。今の平和憲法は時代遅れか。変えることは戦前回帰につながり、むしろ時代錯誤ではないか。よく考えたい。憲法9条をユネスコの世界遺産に、という運動もある。この場合の「遺産」は、レガシーではなくヘリテージ。過去から未来へ守り伝えるべき人類の貴重な財産である。

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