自然、おもてなし 実感 34.5キロ 直方北九州自転車道 開通

西日本新聞 もっと九州面 福田 直正

 筑豊総局(福岡県飯塚市)に配属となって2カ月余。生活にも慣れ、筑豊だからこそ楽しめる趣味を持ちたいと考えていると「直方北九州自転車道」開通の情報が入ってきた。遠賀川や響灘沿いを走る全長34・5キロ。風を感じながら、自分の足で遠くまで出掛ける-。高校時代、知人が熱中していて、私も関心のあったサイクリング。実際に自転車道を走り、魅力を探った。

 当日は雲一つない快晴。起点となる直方市役所前広場近くで、今回のために購入した愛車とともに、直方市の自転車愛好家グループ「遠賀川ポタリングラバーズ」の神谷美栄代表(61)を待った。

 神谷さんは自転車で日本一周を達成した息子2人に刺激を受け、50歳を機にスポーツサイクルを開始。同自転車道で既に整備されている区間を何度も走っており、ガイドをお願いした。

 午前10時に出発。道に凸凹はなく、こぐだけすいすい進む。道幅は広く、並走して会話を楽しめる。関東や関西から直方に来た神谷さんの友人は、広い道幅に驚くという。河川敷を使っている利点だ。遠くに福智山を望み、遠賀川の流れを間近に感じながら走るのは、日頃のストレスも忘れる爽快さがある。

 起点から約4キロ走ると直方市の犬鳴川の渡河橋に着いた。今月17日、渡河橋を含む約0・9キロの供用が始まった。これまでに自転車道のほとんどが通行できたが、この区間だけ迂回(うかい)が必要だった。神谷さんは「待っていた開通。早く楽しみたいとうずうずしていたんです」と笑顔で話した。

   □    □

 直方市を縦断し、芦屋町に入り、しばらくすると、響灘の海沿いコースへ。歩道や路肩への乗り入れとなり、道幅は狭くなるが、目の前に広がるのは海。磯の香りが漂い、潮騒が聞こえる。

 体力的に限界が近づいた午後1時に、ようやく終点の北九州市若松区安屋に到着。自転車から降りて、思わずしゃがみ込んだ。疲労困憊(こんぱい)だが、汗ばんだ体に吹きつく潮風が心地よい。

 物産館に立ち寄り、昼食を取りながら、神谷さんに自転車の魅力を尋ねた。「日々自転車をこぐトレーニングを続けるうちに、今まで走れなかったコースも進めるようになる。自分の成長が楽しくてどんどん乗ってしまう」。自転車道については「この道を世界に誇れる日本国内屈指の自転車道にしたい。ストーリーを作れば、この道には多くの人が来てくれるはずです」。

   □    □

 直方市役所前広場に戻ったのは午後5時。

 「自転車のまち」を目指す直方市は、サイクルマップを作製し、自転車スタンドの設置やサイクリスト向けの割引サービスなどを行う店舗を「サイクリスト受入(うけいれ)推進企業」として登録している。

 飯塚市へ戻る前に、ひと息つこうと、受入推進企業のカフェ「Cocotte」に寄った。店長の二坂満理子さん(51)は、元自転車店従業員。約70キロを走った記者をねぎらってくれた上で、「直方には何もないと言う人もいるが、自然がある。その良さを体感するには自転車が一番。市内外の多くの人がサイクリングに親しめるような取り組みを考えたい」と話した。

 自然を感じ、おもてなしも実感できる同自転車道。自転車を生かしたまちづくりも楽しみだ。自転車仲間を見つけ、また走破したい。

 (福田直正)

 ▼直方北九州自転車道 福岡県が1997年度から整備している自転車歩行者専用道で、同県直方市溝堀から北九州市若松区安屋までを結ぶ全長34.5キロ。飯塚直方自転車道(12.8キロ)や遠賀宗像自転車道(32.5キロ)と接続する。同県は県内各地域を周遊する「サイクルツーリズム」を推進しており、直方-宗像間(約55キロ)をモデルルートの一つに設定している。

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ