DNA型鑑定、緊張の連続 毛利公幸さん 【連載・科捜研のリアル❷】 (2ページ目)

西日本新聞 黒田 加那

 ◆被害者を忘れない

 全ての鑑定が想定通りに進むわけではない。「緊張の続く戦いです」と毛利さん。雨や炎天にさらされ、保存状態が悪くなった試料からはDNA型が検出できないこともある。

 ドラマのように一度に一つの事件だけ関わっていればいいわけではない。常にいくつもの鑑定作業を並行しており、凶悪事件が突然起こった時など、優先的にしなければいけない鑑定が飛び込んでくる。

 「難しい事件ほど、結果について研究員間で議論する。やり直して、数日かかることもある」

 採取したDNA型は必要に応じデータベースに保存するため、隠れていた犯罪が浮かび上がることもある。

 毛利さんのようなベテランでなければできない作業もある。「複数のDNAが混じり合う案件」だ。性暴力事件に多く、それぞれのDNAを抽出するだけでも大変な作業になる。

 毛利さんは一つの事件を思い出す。目撃者のいない密室で起きた性暴力事件。容疑者の精液とみられるものが付着した証拠品の鑑定依頼が回ってきた。丹念な作業の中で、容疑者だけでなく、被害者のDNAも混じっていたことが分かり、暴行の立証へ一歩近づいた。

 「試料の向こうに犯罪の被害者がいるのだと忘れたことはありません」。一瞬、毛利さんの表情が厳しくなった。(黒田加那)

(この連載は毎週木曜正午に配信します)

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