密室法廷の差別追及 菊池事件国賠訴訟が結審 熊本地裁 来年2月判決

西日本新聞 社会面 和田 剛 綾部 庸介

 1952年に熊本県で起きた殺人事件で、ハンセン病患者とされた男性が隔離施設の「特別法廷」で裁かれ、無実を訴えながら死刑となった「菊池事件」を巡り、検察が再審請求しないのは不当として元患者6人が国に損害賠償を求めた訴訟が20日、熊本地裁(小野寺優子裁判長)で結審した。原告側は最終準備書面で、男性の弟と娘に再審請求するよう促したものの、差別を心配して断られた状況について陳述した。判決は来年2月26日の予定。

 原告側が提出した最終準備書面によると、国のハンセン病強制隔離政策を違憲とした2001年5月の熊本地裁判決の2カ月後、男性の弟と徳田靖之弁護士が面会。弟は「子どもたちに兄が死刑になったことを話していない。再審したら、子どもや親族にハンセン病のことが伝わり、家庭は崩れてしまう。兄に手を合わせて何度もわびながら決心した」と断念の理由を伝えた。男性の娘は同年、一度は徳田氏に委任したが、親族から止められ08年に再審請求をあきらめたという。

 ハンセン病元患者の家族への賠償を国に命じた今年6月の熊本地裁判決は、隔離政策で引き裂かれて家族関係が形成できず、結婚や就職など人生のさまざまな場面に影響するなど、家族への被害が極めて深刻だったことを認めている。

 原告らは結審後、熊本市内で記者会見。徳田氏は「遺族は誰よりも男性の無罪を信じていることを、実際に会って肌で感じた。私たちが考えるよりはるかに偏見と差別は根強い」と述べ、再審請求しない検察の姿勢を改めて批判した。

 訴訟は、菊池事件の真相や特別法廷の違法性を明らかにするため、男性と交流があった国立ハンセン病療養所菊池恵楓園の入所者ら6人が17年8月に起こした。 (和田剛、綾部庸介)

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