香港人権法 米上院も可決 貿易協議影響も、トランプ氏対応焦点

西日本新聞 川原田 健雄 田中 伸幸

 【ワシントン田中伸幸】米議会上院は19日、香港で続く政府への抗議活動を支持して中国をけん制する「香港人権・民主主義法案」を全会一致で可決した。下院も同様の法案を可決しており、両院が調整した法案にトランプ大統領が署名すれば成立する。トランプ氏は同法案をちらつかせて中国との貿易協議を有利に進める考えとの見方がある一方、同法が成立すれば中国が激しく反発し、トランプ氏が目指す貿易協議の部分合意が遠のく可能性も指摘される。トランプ氏は法案への態度を明らかにしておらず、対応が注目される。

 上院が可決した法案は、中国が香港に高度の自治を保証した「一国二制度」を守っているかどうか、米政府に検証を義務づける。米国は現在、ビザ発給や関税などで香港を中国本土より優遇しており、政府は検証の結果によって優遇措置を継続するかどうか毎年判断する。

 香港で激化するデモ隊と警官隊の衝突について、米国内ではウクライナ疑惑を巡る弾劾調査に次ぎ、メディアで連日大きく取り上げられている。18日には与党共和党上院トップのマコネル院内総務がトランプ氏にデモ隊を支持するよう強く求めた。ポンペオ国務長官も「深刻な懸念」を表明。政権と議会が一体となって対中圧力を強めている。

 だがトランプ氏本人は香港情勢について「悪いことが起きれば、貿易協議に非常に悪影響を及ぼしうる」と発言するなど中国をけん制する姿勢をにじませるものの、深入りは避けている。19日には米中貿易協議について「合意できなければ関税をさらに引き上げるだけだ」と述べたが、香港情勢への言及はなかった。

 弾劾調査の対応に追われ、自身の健康不安説までうわさされる中、経済界や農業団体からは米中貿易協議の進展を求める声が強い。部分合意を取り付ければ再選を目指すトランプ氏にとって成果となり得る。中国が激しく反発する人権法案への署名を含め、香港問題を対中交渉のカードとすることが得策かどうか、判断に苦慮しているとみられる。

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中国、署名回避へけん制

 【香港・川原田健雄】米議会上院の「香港人権・民主主義法案」可決を受け、中国の関係機関は20日、一斉に非難の声明を出して猛反発した。習近平指導部は、トランプ大統領が法案成立に必要な署名に応じないよう、貿易協議を絡めて対米圧力を強める構えだ。

 中国外務省によると、馬朝旭外務次官は同日、在中国米大使館の幹部を呼び出して「強烈な抗議」を伝達。法案が成立した場合は「断固反撃する有力な措置を取る」と報復を示唆した。耿爽副報道局長も「強烈な非難と断固とした反対」を表明する談話を発表した。

 このほか、中国政府の香港政策担当部門や香港出先機関に加え、全国人民代表大会(全人代=国会)と、国政助言機関である人民政治協商会議(政協)の各委員会も相次いで対米批判の談話を発表した。

 習指導部は、来年に大統領選を控えるトランプ氏が最も関心を寄せるのは、米中貿易協議の「成果」だと見透かす。人権法案への激しい反発は、米農産品の輸入拡大などの協議が大詰めを迎える中、貿易協議に悪影響を与えかねない法案にトランプ氏が署名しないよう、けん制する狙いとみられる。

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