デパ地下にイタリア野菜 久山町「里山サポリ」産 希少さと味が人気

西日本新聞 ふくおか都市圏版 後藤 潔貴

 デパ地下は男のロマン-とまでは言わないが、数々のおいしい食べ物に心躍る場所であることは事実。福岡市・天神の老舗デパート岩田屋本店本館地下1階も例外なく、至福の空間だ。そこで今、イタリア野菜が人気を集めているという。煮込み料理にお薦めの黒キャベツ「カーボロネロ」、ロシア料理のボルシチにも使われる真っ赤な根菜の「ビーツ」、プチプチした食感が“畑のキャビア”と称される「涙豆」…。これ、いずれも「里山サポリ」という地元福岡の農園産だ。サポリはイタリア語で「味」のこと。人気の秘密を探った。

 野菜売り場の仕入れを担当する「吉田青果」の吉田和敏代表(47)。自らが品定めし、県内外から取り寄せた野菜約200種類をところ狭しと並べている。

 「デパートの野菜売り場では、あそこでこんなのが買えたという驚きや喜びを提示することが重要」と吉田代表。その意味でも、国内であまり流通していないイタリア野菜を中心に、作り方にもこだわっている里山サポリの野菜はお気に入りの一つ。約1年前から仕入れている。「料理人に人気ですね。うちの大事な商品です」

     ◆   ◆

 里山サポリがある久山町猪野を訪れると、生産者の城戸勇也さん(35)が日焼けした笑顔で出迎えてくれた。「これから冬野菜が本番ですよ」。年間を通じて、合計約150アールの田畑で約100種類のコメや野菜を作っている。ほとんどがイタリア野菜で、今ならレタスの仲間で、まだら模様があるルシアや深紅のトレビスが旬。苦みが強く、味が濃いことに驚いた。

 それにしても、なぜイタリア野菜なのか。21歳のとき、ヨーロッパで食べたピザの味に衝撃を受けた城戸さんは、24歳でイタリア・ナポリに渡り、作り方を習得した。帰国後はナポリ料理店で働くが、現地で食べたおいしい野菜が忘れがたく、32歳の時、独立を夢見て故郷で就農に踏み切ったという。

 実は、イタリア野菜は国内流通量が少なく、多くのイタリア料理店が入手に苦心していた。代替品を使う店も多く、おいしいものを作れば、必ず需要はあると確信があった。おいしくするのにアミノ酸が必要と聞けば、かまぼこ店から入手した魚の頭や内臓で独自の肥料を作った。土づくりには、食品会社から提供されたしょうゆの搾りかすを活用している。

 現在は、おいしさと希少価値が評価され、全国の約30の料理店などに自慢の野菜を出荷するようになった。「いかに価値を高めるか」と、まだまだ試行錯誤を繰り返す、たゆまぬ努力も人気の秘密なのだろう。

 (後藤潔貴)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ