筑豊に今なお残る鉱業権 飯塚市、関の山売却方針 自治体所有は異例

西日本新聞 筑豊版 座親 伸吾

 日本有数の産炭地だった筑豊地区では1976年に最後の石炭鉱山が閉山したが、石灰石などの鉱山は複数で操業している。一般市民になじみの薄い鉱業権について、Q&Aで整理した。

 -筑豊にはどんな鉱山があるのか

 鉱物の試掘や採掘、製錬を行う事業場を指す「鉱山」。経済産業省九州産業保安監督部によると、2018年12月末時点、九州で稼働する鉱山は43、うち県内には12あり、筑豊地区は6だ。内訳は、関の山を含む石灰石4鉱山、ケイ石が2鉱山。石炭の“黒ダイヤ”に対し、“白ダイヤ”とも呼ばれる石灰石は発破や大型機械で地表を掘削する「ベンチカット」の手法がとられ、筑豊では香春岳(香春町)がよく知られている。

 -鉱業権とは何か

 鉱業法は1950年に制定。鉱業権は、登録を受けた鉱区で採掘できる「採掘権」や「試掘権」があり、願い出に基づいて国が権利付与する。鉱業権は不動産に関する規定が準用され、土地所有者でも法定鉱物を勝手に採取できない。

 適切な主体が資源開発を行うよう2012年に法改正され、合理的理由のない「事業未着手」は認められなくなった。

 -筑豊における採掘権の状況は

 九州経済産業局鉱業課によると、筑豊5市と香春岳がある香春町の採掘権の設定状況は、田川21▽飯塚14▽嘉麻3▽直方、宮若ともに0▽香春町は33。

 一方、6市町所管課への取材では、自治体が鉱業権を持つのは関の山での飯塚市の2鉱区のみ。以前は土地を保護する観点から自治体が鉱業権を持つ例があったというが、事業者などの所有が多く、自治体が所有するのはまれだ。

 -飯塚市が関の山で鉱業権を持っていた理由は

 1962年6月の旧庄内町(現飯塚市)議会の議事録に経緯が残る。きっかけは、町内にあった炭鉱の閉山。町は石炭不況による地域産業の衰退を防ぎ、鉱物の開発で振興につなげようと広い範囲で鉱業権の調査を実施。大半の地域では設定されていたとみられるが、関の山で残っていたという。当時の町長は議会で「直接町がやらないにしても、これは他に譲ることができる」「通産局には町が事業をするといっているが、できたら適当な処分を考えている」と答弁。町は事業化以外の選択肢を持っていたとみられる。

 町は鉱業権取得後、資金難や採算面から事業着手を繰り返し延期。2006年の1市4町合併後も延期を続け、法改正を受けて飯塚市は売却へかじを切った。(座親伸吾)

■地元住民、反対の声 採掘時の振動など懸念

 セメント原料になる石灰石が採れる飯塚市東部の関の山(標高359メートル)を巡り、同市は所有する鉱業権と土地の売却方針を示したが、地元では採掘に伴う振動や粉じん、景観悪化などを懸念し、売却反対の声が上がっている。飯塚市が9月定例市議会に提案した関連議案は、議会が「住民に対する十分な説明が必要」などとして継続審査となった。11月22日の市議会経済建設委員会で再び審議される見通し。

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