現役大使「トランプ氏の指示」 ウクライナ疑惑、米公聴会で証言

西日本新聞 国際面 田中 伸幸

 【ワシントン田中伸幸】トランプ米大統領のウクライナ疑惑を巡る議会下院の弾劾公聴会で20日に証言したソンドランド駐欧州連合(EU)代表部大使は、トランプ氏の「指示」に従って同氏の政敵の捜査をウクライナ側に要求していたと明言した。野党民主党は「腐敗は明確だ」として攻勢を強める構えだが、トランプ氏は「ウクライナには何も求めていない」と繰り返し反論。国内にはトランプ氏の弾劾罷免には「さらに強力な証言が必要だ」との指摘が少なくない。

 ソンドランド氏は20日の下院情報特別委員会の公聴会で、トランプ氏から顧問弁護士のジュリアーニ氏と協力するよう「明確な指示があった」と証言。ジュリアーニ氏から、民主党の大統領選有力候補のバイデン前副大統領や息子に関する捜査をウクライナ側に求め、その見返りとしてホワイトハウスで首脳会談を実施すると聞いたと述べた。

 また正規の外交ルートではないジュリアーニ氏と協力して対ウクライナ交渉を行ったことについて、ペンス副大統領やポンペオ国務長官らの名を挙げて「政権高官の全員が情報共有していた」と強調した。

 ソンドランド氏はトランプ氏の関連団体に多額の献金をしてEU大使に任命され、これまで弾劾調査で証言した政府高官の中で最もトランプ氏に近い。その人物がトランプ氏の疑惑関与を強く印象づける発言をしたことに、米メディアは「爆弾証言」(NBCテレビ)と報じた。

 これに対してトランプ氏は20日、地方視察への出発時刻を予定より遅らせ、公聴会の証言を確認した上で記者団の前に姿を現し、ウクライナへの要求を全否定するメモを読み上げた。

 ただ、自身が大使に任命したソンドランド氏を「あまり知らない」と繰り返すなど苦しい発言も。ホワイトハウスは「証言は推定に基づくもの」との声明を出し、批判回避に努めた。

 米国内ではトランプ氏が今後「結局は何も起きなかった」と開き直る可能性が指摘される。結果的にウクライナ当局はバイデン氏一家を捜査せず、取引材料だったと疑われる米国によるウクライナへの軍事支援は継続され、首脳会談も行われたからだ。識者からは、政権内で対ウクライナ交渉に批判的だったとされるボルトン前大統領補佐官の証言などさらなる疑惑の裏付けが必要との声が上がる。

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