香港「大学の乱」終戦 「勇武派」大量逮捕 デモ5ヵ月岐路に

西日本新聞 国際面 川原田 健雄

 【香港・川原田健雄】政府に抗議するデモ隊の拠点となった香港理工大は21日までに、立てこもっていた若者の大半が去り、終戦ムードが漂った。籠城の動きは一時、香港の各大学に広がったが、警官隊との消耗戦を強いられ、デモ隊内部の路線対立も露呈。過激な行動の中心だった「勇武派」が大量に逮捕され、約5カ月にわたり続く抗議活動は大きな打撃を受けた。

 「次にどんな活動ができるか今は見えない」。6月からデモに参加してきた飲食店勤務の男性(22)は落胆を隠さない。逮捕寸前に理工大から逃げた20代男性も「しばらく激しい抗議は難しい」と話した。

 デモ隊が今月中旬以降、香港中文大や理工大などを拠点としたのは、近くの幹線道路に障害物を置いて通行を妨害するためだ。「自治権のある大学なら警察が踏み込みにくい」との計算もあった。

 しかし、警察は実弾使用も辞さない強硬姿勢で大学を包囲。持久戦を強いられたデモ隊は次第に追い詰められた。香港メディアによると、中文大では15日、籠城継続を主張する学生と、2014年に幹線道路を占拠し続けて市民の支持を失った「雨傘運動の失敗を繰り返すべきではない」とする若者が対立。3時間の協議の末、撤収が決まった。

 理工大では学生側が火炎瓶やれんがを投げて抵抗したが、警察は大量の催涙弾や放水で攻勢を強め、デモ隊の逃げ道をふさいだ。追い詰められた学生らの投降が相次ぎ、逮捕者は1200人を超えた。今も数十人が残るが、事実上の陥落状態だ。

 これまでデモ隊は「水のように」を合言葉に、市街地の広範囲で同時多発的にデモを展開するなど、予測困難な行動で警察を翻弄(ほんろう)してきた。しかし大学に立てこもった今回の衝突はいわば防御戦。「装備や物量で勝る警察にかなうはずがない」と勇武派の30代男性は指摘する。特定のリーダーがおらず、籠城後の長期戦略に欠けた面も否めない。

 これまでのデモ隊と警察との衝突では、勇武派が最前線で警官隊を食い止める間に、他のデモ参加者が逃げて勢力を保ってきた。今回、勇武派が多数逮捕されたことで抗議活動が収束に向かうとの見方もある。

 勇武派の女性は「活動は一時的に低迷する」と認めつつ、「平和的なデモ参加者が警察の暴力に怒って勇武派に変わりつつある。いくら逮捕しても抗議活動は終わらない」と語った。

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