「小雪」と書いて「しょうせつ」と読めば二十四節気の一つ…

西日本新聞 オピニオン面

 「小雪」と書いて「しょうせつ」と読めば二十四節気の一つ。冷え込みが始まり、雨が雪に変わっていく時季のこと。今日はその小雪である

▼長崎県の雲仙・妙見岳から今季初の霧氷の便りが届いた。クリスマスプレゼントや年賀状の準備も始めないといけない。食いしん坊には鍋の季節到来か。旬の春菊を入れた鍋から立ち上る湯気を思い浮かべれば、温かく幸せな気持ちになる

▼一方「小雪」をすんなり「こゆき」と読めば、中原中也のこの詩が思い浮かぶ。<汚れつちまつた悲しみに/今日も小雪の降りかかる>。この詩はどこか肌寒く、薄幸の香りをまとう

▼中也は山口県出身。言葉の魔術師、北原白秋に憧れて詩を志した。幼い頃から神童と呼ばれ、白秋に匹敵する軽快なリズムで言葉を操った。だが、生前に出版できた詩集は1冊。30歳で病死した悲運の詩人である

▼その中也と同じ山口県を地盤とするこの方の周りにも小雪がちらつき始めたようだ。首相在職日数が憲政史上最長となった安倍晋三首相である。内閣改造直後に閣僚2人が辞任。大学入学共通テストへの英語民間検定試験は導入を見送り。さらには「桜を見る会」が問題化し、来年の会を中止した

▼「経済」を隠れみのに「改憲」を進めてきた政権の終わりの始まりにならぬよう襟を正す時だろう。<汚れつちまつた悲しみに/なすところもなく日は暮れる……>と中也の詩は終わる。

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