桜を見る会 揺らぐ説明で膨らむ疑惑

西日本新聞 オピニオン面

 首相が主催する公式行事の私物化ではないか-と指摘される疑惑は解明に向かうどころか、一段と膨らんだと言えよう。

 安倍晋三首相は一昨日の参院本会議で「桜を見る会」の招待者に関して「事務所から相談を受ければ、推薦者について意見を言うこともあった」と答弁した。招待者の推薦に関与していた事実を認めたことになる。

 首相は8日の参院予算委員会で「主催者としてあいさつや接遇は行うが、招待者の取りまとめなどはしていない」と説明していた。野党は「虚偽答弁ではないか」と批判している。

 人選段階での「推薦者」と最終的な「招待者」を区別し「内閣官房と内閣府の最終的な取りまとめには一切関与していない」というのが首相の論法だが、苦しい弁明に聞こえる。少なくとも事実上の答弁修正ではないかとの印象は拭えない。

 菅義偉官房長官は衆院内閣委員会で今年の招待者約1万5千人の推薦枠を明らかにした。首相▽副総理・官房長官・官房副長官▽公明党関係者・元国会議員・報道関係者らの推薦が各約千人、自民党推薦が約6千人だった。各省庁推薦の功労者らは約6千人で、招待者の過半数は政府や与党の政治家による推薦で占めていたことになる。

 「各省庁の意見を踏まえ、各界で功績、功労のあった人を幅広く招待している」という当初の説明に比べ、政治家枠の多さに驚く。「幅広く」という一言で覆い隠せるものではない。

 首相の推薦枠には昭恵夫人の推薦も含まれていたという。国有地売却を巡る森友学園問題で昭恵夫人の関与が取り沙汰された際、政府は「首相夫人は私人」とする答弁書を閣議決定している。私人である首相夫人がなぜ、税金を使う公式行事に招待する人を推薦できるのか。

 まだある。政府は今年の招待者名簿について5月9日に破棄した、としている。この日は野党議員が国会で質問するために桜を見る会に関する資料を要求したのと同じ日だった。

 「国会で言い逃れするために破棄したのではないか」との追及に対し、内閣府の官房長は「(4月13日の)同会終了後遅滞なく破棄しようとしたが、大型シュレッダーの利用が重なって使えず、大型連休明けになった」などと釈明した。本当に偶然の一致なのだろうか。

 各種の説明や釈明を聞けば聞くほど、疑惑が次の疑惑を招く異例の展開である。政府答弁の足並みの乱れも目につく。野党は首相が出席する衆参両院の予算委員会での集中審議を求めている。国民の疑念を晴らすためにも、首相は応じて説明責任を果たすべきだ。

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