「送り笠」24日発表会 下句しりとりで五七五 川筋伝統の風流な遊び

西日本新聞 筑豊版 安部 裕視

 機知を楽しむ庶民の文芸として江戸時代に始まった「雑俳」の一種、「送り笠(がさ)」を守り続ける「直方風交会」が24日に直方市新町の直方歳時館で発表会の「巻開(まきびら)き」を開催する。明治、大正時代に遠賀川で筑豊地域の石炭輸送を担っていた川舟(川ひらた)の船頭たちもたしなんでいた川筋伝統の風流な遊びでもあり、今もグループで継承するのは同会だけという。

 「送り笠」の句は俳句と同じ五七五からなる。前者が詠んだ下の句を、次の詠み手が「しりとり」のように上の句(笠)として一句を作って句帳(送り帳)に書き込み、会員に次々と送っていって一巡させる。風交会では一人5句ずつを詠み、1週間以内に次の詠み手に句帳を郵送する。

 作句の仕方として(1)「ひねり」を加え、前句と全く違った言葉で作る(2)風刺やユーモア、人情などを盛り込む(3)「けり」や「なり」などの切れ字は使わない-などのルールがあり、季語は必要ない。川舟の船頭は荷待ちや、川から水路への順番待ちの間に楽しみ、風交会とは別の句会も遠賀の川筋にあったという。

 元小学校教諭で選者の江口絢子(徂雪)さん(91)は入会して約40年。「俳句でも川柳でもない雑俳だが、しりとりで続いていき、それぞれの人生観や世界観が句ににじみ出る。10年たって極意が分かった。ひねりがあって頭を使うから、ぼけ防止にもなる」と話す。会では60代以上の11人が活動している。

 同会同人が直方郷土研究会の機関誌「郷土直方」第6号(1982年4月発行)に寄せた一文で、「送り笠」の例が紹介されている。「狭い庭色とりどりの花育て」→「花育て今日は見送る綿帽子」「花育て晴れて祇園の初舞台」。同人は「前句と2句一体ではじめて深い味わいが出るところが特質であり、面白みがある」とつづる。

 「巻開き」は会員が集まって半年に1度行われ、選者が秀句を選んで清書した巻物を開いて読み上げることから、その名がある。今回は605句の中から江口さんが約1カ月間をかけて入賞句の76句を選び、下位から順に最優秀作の「天位」までを披露する。24日午前10時に開会の予定。無料で観覧できる。 (安部裕視)

■川舟船頭が文芸活動

 牛嶋英俊・直方郷土研究会会長の話 荒くれ者とのイメージが強い川舟の船頭たちが文芸活動をしていたことで、彼らの生活について新しい視点を持つことができる。文学の本流ではないが、遠賀川流域に庶民の文芸の風土が広がっていたのは注目すべきことだ。

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