「核二度と」長崎から発信 教皇 24日殉教地で祈り

西日本新聞 社会面 野村 大輔 徳増 瑛子

 ローマ教皇(法王)フランシスコが24日、長崎を訪れる。世界最小の国、バチカン市国元首の顔も併せ持つ教皇。爆心地に立ち、キリシタン迫害の歴史を伝える殉教地で祈ることは、外交と宗教、いずれの面においても必然でもある。

 人口約800人で軍事力もないバチカンだが、その外交目標は「世界平和の確立」と大きい。教皇は超大国米ロの両大統領とも面会している。それを可能にしているのが情報力と影響力だ。約13億人の信者を擁し、世界中に根を張る教会組織が収集した情報を外交に生かす。日本についても地域ごとの「信者数」や「信者率」のデータがあり、影響力の把握には余念がない。在バチカン日本大使館の元公使、徳安茂氏は、バチカン外交の強みを「教会と、数多くの信者のヒューミント(人的情報)に尽きる」と言う。

 今年8月には米ロの中距離核戦力(INF)廃棄条約が失効し、トランプ米大統領は小型の核弾頭の開発を進める。核使用の恐れが現実味を増すこの時期の被爆地訪問を、長崎大核兵器廃絶研究センターの広瀬訓氏は「計算し尽くされたタイミング」とみる。

 教皇は訪日を前にしたビデオメッセージで、「核兵器による破壊が二度と行われないよう、皆さんとともに祈ります」と寄せた。

 宗教的な側面から、教皇が長崎を目指す理由を探すと、日本にキリスト教を伝えた宣教師ザビエルにさかのぼる。鹿児島に上陸したザビエルは教皇と同じ男子修道会「イエズス会」神父として長崎・平戸で活動した。現在の長崎市には、会の日本国内での布教拠点が置かれた。

 今回、爆心地で核兵器廃絶のメッセージを発表した後に訪れる「日本二十六聖人殉教地」は、1597年に豊臣秀吉の命で宣教師や信者が処刑された場所。潜伏キリシタンが信仰を打ち明けた「信徒発見」(1865年)の地も長崎だ。

 幾つもの因縁がある長崎を訪れるカトリック関係者は多く、教皇も若い頃に日本での布教を志した。会の日本管区長デ・ルカ・レンゾ氏は「教皇にとって、長崎は憧れの地。これで夢がかなう」と話している。 (野村大輔、徳増瑛子)

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