漫画家といえば締め切りに追われ…

西日本新聞 オピニオン面

 漫画家といえば締め切りに追われ、目を充血させ徹夜で机に向かいペンを走らせる-というイメージが強いが、正反対のスタイルで驚異的な長期連載をやり遂げた人がいる

▼「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(こち亀)の作者である秋本治さん。この漫画は1976年9月から2016年9月まで約40年にわたり毎週連載された。長さもさることながら、休載が一度もないというのがまた驚きだ

▼その秋本さんが最近「秋本治の仕事術」(集英社)という本を出した。週のうち5日で「こち亀」1本を仕上げる。本人もアシスタントも勤務時間は9時から19時まで(うち休憩2時間)。徹夜はしない

▼小さな無駄な時間を切り詰める方法を、町工場のドキュメント映像に学んだという。特別な手法はないが、当たり前の積み重ねこそすごい、と実感させる仕事術だ

▼「こち亀」主人公の両さんこと両津勘吉は、仕事をしているのか遊んでいるのかわからない、実にいいかげんな男。その主人公と作者の働き方のギャップが面白い。巻末に付けられた漫画には「自分がいいかげんだから作者もいいかげんだと思っていた両さんが、作者の本を読んでショックを受ける」シーンがある▼これほど「勤労」という言葉が似合う漫画家もいないだろう。200巻もの「こち亀」を楽しめるファンとしては、秋本さんの長年の仕事に感謝するばかりだ。今日は勤労感謝の日。

PR

春秋(オピニオン) アクセスランキング

PR

注目のテーマ