光と同じだけ影が デビュー25周年・山崎まさよしさん 映画主演に新作も 

西日本新聞 小川 祥平

 シンガー・ソングライターの山崎まさよしさんがデビュー25周年を迎えました。今月「Quarter Note」をリリースしたほか、横山秀夫さん原作の映画「影踏み」(公開中)で主演するなど活躍を続けています。JR博多駅前広場のイルミネーション点灯式などのため福岡を訪れた山崎さんをGETしました。

 -3年ぶりのアルバムです。リリースのきっかけは。

 ★山崎 ドラマや映画の主題歌も重なっていたし、良い感じで曲もたまっていましたから。タイトルは、四分音符という意味に加え、25周年という意味を込めています。

 -1曲目「Regression」からアップテンポな曲で驚きました。

 ★山崎 これは昔作った曲のトラックに新しく歌詞を書き下ろしたんです。他にも数曲あります。逆に最近作曲したのは、年相応に比較的ゆったりした曲調。そこでコントラストがついたのではないでしょうか。

 -1曲目の歌詞は現代社会への批評めいてもいます。社会的メッセージを歌うイメージはなかったので新鮮でした。

 ★山崎 最近のSNS、AIとかへのアンチテーゼというか。ちょっとした警告めいたものですかね。

 -ロック、ブルース、レゲエっぽい音は変わらない山崎さんらしさがありました。

 ★山崎 好きなジャンルをいろいろ入れて、バラエティーを出しました。同時に新しいアプローチも心掛けました。古いトラックに新しい歌詞をつける今回の手法もそう。昨年、自宅にスタジオを作ったんですよ。ドラムの録音ではマイクの位置を変えるなど試しながら作業しました。思い付いたらすぐスタジオに行けるのもいいですね。そうしないとすぐ忘れてしまう。年なので(笑)。

 -「らしさ」と言えば歌声もそうです。

 ★山崎 実は真剣に考えるのをやめたんです。「このキーが出ない」となると、やっぱり悔しくなるので。気持ち的に楽に歌うことにしました。ある程度力を抜いた方が逆にメッセージ性も上がることにも気付きました。

 -映画「影踏み」の主題歌も収録されています。

 ★山崎 本編に描かれてないけど補足になる、スピンオフ的なイメージで作りました。

 -映画は、初主演映画「月とキャベツ」の篠原哲雄監督と再びタッグを組みましたね。

 ★山崎 当時のスタッフが集まるし、横山秀夫さんの小説も大好き。だから二つ返事で引き受けました。

 -横山作品のどこが好きなのですか。

 ★山崎 組織の中で日の当たらない部署、個人に目を向けるところ。花形ではない人間が持っている心模様を描くのにすごくたけている。

 -演じた真壁修一は司法試験を目指しながら、ある過去がきっかけで転落。腕利きの「ノビ師」(侵入盗)として生きています。

 ★山崎 アウトローで反社会的な人物が主人公になるのは異色作ですよね。真壁は、ニヒルで心に後ろめたいものを抱えている。そして過去の闇を拭い去るように盗みを働く。人間としてのありようが鋭いじゃないですか。どうやって柔らかくするのか。難しさを感じました。

 -撮影はどうでした?

 ★山崎 スタッフ、共演者とプロの人たちに空気をつくってもらった。僕は胸を借りるつもりで飛び込みました。皆さん自分の世界があるんです。尾野真千子さんは、スタートの合図がかかったら幸薄い役柄になっていく。電気が落ち、はかなくなる。驚きますね、やっぱり。

 -映画は影がテーマ。山崎さんの歌にもどこかしら影を感じて、そこに共通項を感じました。

 ★山崎 後ろめたい過去は誰もが持っている。光が当たる部分と同じ量だけ影の部分があるでしょ。

 -出来上がった映画はどうですか。

 ★山崎 いろんなエピソードがあり、芝居も重厚になっている。謎が解けた時の気持ちよさ、痛快さもある。さらにスピード感もあって最後まで目が離せない。そこを楽しんでいただきたいですね。(文と写真・小川祥平)

▼山崎まさよし(やまざき・まさよし) 1971年生まれ。山口県防府市育ち。シンガー・ソングライター。95年にデビュー。ヒット曲に「One more time,One more chance」「セロリ」「僕はここにいる」など。俳優としても活動し、映画「月とキャベツ」(96年)、「8月のクリスマス」(2005年)などで主演を務めた。

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