かかしの選手、田んぼでナイター 飯塚市で恒例の“熱戦”

西日本新聞 筑豊版 田中 早紀

 飯塚市鯰田の田んぼで、今年もかかしたちによるソフトボールの「球宴」が繰り広げられている。近くの建設業久保井伸治さん(68)が、かかしにユニホームを着せ「試合」をさせる秋の風物詩。久保井さんの気分次第で試合は進行するが、勝利チームの胴上げで閉幕するのがお決まり。今年は、ライトで球場を照らす「ナイトゲーム」もあり、熱戦は12月1日まで続く。

 始まりは2012年。鯰田地区にはかつて、約10の少年ソフトボールチームがあったが、少子化などで1997年頃にはなくなった。ユニホームを譲り受けた久保井さんが活用策として思いついたのがかかしによる試合だった。

 「町おこしにお金をかける訳にはいかない」。久保井さんは、美容室からマネキンの頭部を譲り受け、胴体や手足には新聞紙や不要な紙を使用。当初、はだしで試合をするかかしを見た子どもに「靴をはいていないよ」と言われ、不要になった靴をもらって履かせると、今度は「それはサッカー用」との指摘が…。今も靴の提供は続き、今年は新たに10足の寄贈を受けたという。

 「かかしにあげる」。古くなったグローブを持ってきた子どもに「自分のはどうするんね」と尋ねると「買ってもらう!」と即答。「親に新しいグローブを買ってもらいたいんだな」と笑ったこともある。

 今年は、選手やスコアラー、審判など約40体のかかしを用意。鯰田地区の「篠田」、昨年ユニホームを提供された同市潤野地区の「牟田」の両チームが熱戦を展開している。観客がスコアボードに書いた点数は原則そのままにし、かかしの配置を考える。そばで下水道工事をしている業者がたまたま知り合いだったため、電源を借りて夜間はライトで照らしている。

 かかしは、孫たちの手を借りつつ基本的に久保井さんが一人で制作しているが、多くの人から小道具を分けてもらっている。久保井さんは「(かかしに使ってもらうことで)自分も参加したような気分になれるのだと思う。やりがいがあるので、元気がある限り続けたい」と話している。 (田中早紀)

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