城山小を「世界遺産に」 長崎原爆で被害の校舎 教皇来訪「追い風」

 長崎原爆で被害を受けた長崎市立城山小学校(旧城山国民学校)の世界文化遺産登録を目指す動きが、地元で続いている。政府が国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦する前提となる「暫定リスト」入りが視野に入ってきたが、越えるべき壁もまだ多い。折しも24日にはローマ教皇フランシスコが長崎を訪れ、核兵器廃絶に向けたメッセージを発信する予定。城山小登録への「追い風」を願う声が高まっている。

 城山小校舎は爆心地から西に約500メートルの地点にあり、鉄筋コンクリート3階建て。長崎原爆で内部や外壁が破壊され、兵器製造に従事していた作業員など約130人が命を落とした。2016年、爆心地や浦上天主堂旧鐘楼などとともに「長崎原爆遺跡」として国史跡に指定されている。

 世界文化遺産と自然遺産を合わせた政府のユネスコ推薦枠は毎年1件で、まずは暫定リストに名を連ねる必要がある。現在、暫定リストの文化遺産は6件あるが、ユネスコの諮問機関・国際記念物遺跡会議(イコモス)が既に不登録勧告したものなども含まれ、文化庁は近く暫定リストを追加する方針だ。

 今年6月には、地元の秋野公造参院議員が国会で城山小の登録について質問し、文化庁は「原爆投下の歴史的事実や戦争の悲惨さを伝える貴重な遺構であり、真摯(しんし)に対応したい」と答えた。市民から、政府への働き掛けを求める要望を受けた長崎市は、暫定リストの提案書づくりを急いでいる。城山小単独や長崎原爆遺跡での登録、世界文化遺産の原爆ドーム(広島市)の関連遺産登録を具体的に検討しており、文化庁の担当者は「城山小が、暫定リスト追加候補の筆頭であることは間違いない」と話す。

 暫定リストに入ったとしても、原爆ドームの登録で米国と中国が反対に回った過去の経緯もあり、政府が推薦枠を決める際は外交関係を踏まえた政治判断を働かせることが考えられる。近年は、ユネスコの世界遺産委員会の審査自体も厳格化し、道のりは平たんではない。

 地元は、ローマ教皇の長崎訪問が城山小にも光を当てることを期待する。城山小原爆殉難者慰霊会の本田魂(たましい)会長(75)は「被爆地の悲惨さは、実際に見てみないと分からない。ローマ教皇の言葉と行動が、核兵器廃絶と平和への機運を高め、世界文化遺産登録への後押しになれば」と語った。 (下村ゆかり)

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