日韓の協定継続 不毛な応酬止める契機に

西日本新聞 オピニオン面

 日米韓の防衛協力の枠組みが辛うじて維持された。日本と韓国の軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)である。協定の破棄を通告していた韓国が方針を凍結した。日本も輸出規制強化を巡り、韓国との協議開始に合意した。

 私たちは、東アジアの安全保障をゆるがせ、日韓関係の修復を困難にする協定破棄を見直すよう主張してきた。米国の強い働き掛けがあったとはいえ、双方が歩み寄り、決裂を回避できたことを評価したい。

 最悪の事態は免れた。とはいえ、3カ国の連携が盤石ではないと周辺国に印象付けたことは、今後に禍根を残しかねない。

 協定は曲折の末に成立した経緯がある。一度、韓国側の意向で署名式直前に見送られ、2016年に朴槿恵(パククネ)前政権が国内の反対を押し切って締結にこぎ着けた。来年4月に総選挙を控える文在寅(ムンジェイン)政権が外交カードに使ったのも、かつて朝鮮半島を統治した日本との防衛協力に否定的な世論が今も根強いからだ。

 韓国は、協定維持は暫定措置で「いつでも終了できる」と強調し、切り札を手放そうとしない。日本も輸出規制について「立場は変わっていない」とする。それぞれ問題を先送りした感は否めず、予断を許さない。

 そもそも、北朝鮮が弾道ミサイルの性能を上げ、中国、ロシアの軍事挑発も相次ぐ中、協定の破棄は無謀だった。

 一方、日本が元徴用工問題に業を煮やし、韓国に痛手となる輸出規制強化で事実上の報復に踏み切ったのも不適切だった。

 将来への展望もない、こうした不毛な応酬に、もう終止符を打たなければならない。

 日韓対立の根幹にある歴史認識の問題も未解決のままだ。

 韓国では、日本政府を相手に元慰安婦訴訟が始まった。来年は、元徴用工訴訟で勝利した原告が日本企業の資産売却に踏み切る構えだ。両国政府の対応次第では、双方の国民感情がさらに悪化する負の連鎖を招こう。

 ただ、韓国の国会議長が元徴用工らを救済する新たな枠組みの法制化を提唱した。懸案の解決を図る動きが韓国側で出てきたことは注目に値する。

 文大統領は、元徴用工訴訟で従来の政府見解と異なる判決が出ても何ら手を打たず、日韓合意に基づく慰安婦財団を一方的に解散させた。国家間の約束をほごにする不誠実な態度は改めねばならない。安倍晋三首相も、韓国を突き放したような態度を今後も続けるのであれば、関係改善の道は開けない。

 来月下旬には日中韓首脳会談が中国で開催される。日韓両首脳には関係を仕切り直し、改善を目指す契機としてほしい。

PR

社説 アクセスランキング

PR

注目のテーマ