インフルエンザ早い流行入り 合併症リスク…予防接種を

西日本新聞 医療面 井上 真由美

 今年はインフルエンザの流行が早い。全国的に例年より早い今月上旬に流行入りし、福岡県、佐賀県、宮崎県などは9月下旬に流行入りの目安を超える患者数が報告された。例年は全国的に12月に流行入りし、1月下旬~2月上旬にピークを迎えるが、専門家は「今年はピークも早まる恐れがある。なるべく早めに予防接種を受けてほしい」と呼び掛ける。

 厚生労働省によると、定点医療機関から4~10日までに報告された患者数は、九州では鹿児島が2・66人、長崎2・31人、福岡2・03人、熊本1・80人、佐賀1・33人、宮崎1・31人と、大分を除く6県で流行の目安となる1人を超えている。昨年同時期の4~66倍で、全国も1・03人と昨年同時期(0・35人)を大幅に上回る。

 福岡市西区のいなみつこどもクリニックでは例年、10月中旬から始める予防接種を10月1日に繰り上げた。稲光毅院長が早めの接種を勧めたこともあって、10月の接種者は例年の約2倍に上ったという。今月上旬、長男(3)と生後11カ月の次男の2回目の接種を終えた福岡市の女性(34)は「もしかかっても重症化しないようにしたい」。

 厚労省によると、今年のワクチン見込み供給量は過去6年間(2017年除く)の平均使用量(2598万本)より多く、ワクチン不足の恐れはない見通し。稲光院長は「年々流行入りが早まっている。高齢者施設などを中心に、早めに対策を取るに越したことはない」と話す。

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 「流行入りが早いと、ワクチン接種が間に合わない人が多くなり、流行のピークも早まる可能性がある」と話すのは、飯塚病院(福岡県飯塚市)感染症科の的野多加志(たかし)部長。インフルエンザは1~4日の潜伏期間の後、高熱、激しい悪寒や関節痛などの全身症状が現れる。

 一般的に安静にしていれば、自然に回復する。ただ、5歳未満の幼児、65歳以上の高齢者、妊婦、慢性の肺疾患などがある人は、肺炎や脳症、心筋炎といった合併症を起こすリスクが高い。的野部長は「合併症のリスクが高い人は毎年必ず予防接種を受け、かかったらインフルエンザ治療薬による治療が必要」とする。

 ただ、昨年発売された治療薬ゾフルーザについては、日本感染症学会が先月までに、12歳未満の小児には慎重に投与するよう医療機関に求める提言をまとめており、注意が必要だ。

 一方、的野部長は「合併症のリスクが低い人は、必ずしも積極的な治療は必要ない」とも指摘する。インフルエンザは原則自然回復することに加え、症状が激しい場合でも痛み止め、せき止めなどで対応できるため、全ての人に治療薬を処方しなくてよいという。「症状を早く抑えたい受験生など状況によっては治療を検討することもあり、かかりつけ医と相談してほしい」と話す。

 「何より大事なのは感染しないこと」。両医師は口をそろえる。的野部長によると、1日10回の手洗い、マスク着用は感染リスクを減らす効果が確認されている。稲光院長は「例年同様、十分な睡眠、栄養バランスの取れた食事をとるなど規則正しい生活で、免疫力を高めることが大事」と強調している。 

(編集委員・井上真由美)

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