香港市民、1票に思い託す 区議選投票に長い列

西日本新聞 国際面 川原田 健雄

 【香港・川原田健雄】香港で区議会(地方議会)選挙が実施された24日、各地の投票所には朝から有権者が押し寄せ、長い列を作った。「香港の自由のために投票した」「社会が安定してほしい」。政府へ抗議するデモ隊と警察の衝突が繰り返され、社会の分断が進む中、香港市民はそれぞれの思いを1票に託した。

 「今回は地域の代表を選ぶ普通の区議選じゃない。国民投票と同じだ。抗議活動への支持の多さを選挙結果で示したい」。いまもデモ隊が立てこもる香港理工大近くの投票所。民主派候補に投票したという自営業の男性(60)は強調した。「民主派が勝っても香港がすぐに変わるわけじゃないが、民意を示すことが大事だ」

 同じく民主派候補に1票を投じた服飾業の男性(59)は仕事でよく中国を訪れるという。「取引先や友人から親中派への投票を薦められるが、自分とは考えが違う。次世代の若者のことを思えば将来は普通選挙の導入が必要だ」と語った。

 「顔は撮影しないで。デモ隊に襲われるから」とおびえた表情を浮かべたのは病院勤務の女性(55)。中国系銀行の施設を破壊するデモ隊の様子を撮影した友人が襲われ、負傷したという。「香港政府は無能だけど、街を壊す若者も憎い。何でこんな香港になったのか」とため息を漏らした。

 親中派候補に投票したという高齢男性は「社会が安定しないといけない」と言い残し、足早に去った。

 各地の投票所は午前7時半(日本時間同8時半)の投票開始直後から長蛇の列ができ、1時間待ちとなる場所も出た。「いま投票しないと、いつ投票の権利が奪われるか分からない」と会社員の男性(37)。中国政府の圧力で香港の権利や自由が揺らぐ現状に危機感をあらわにした。

 香港理工大では24日、籠城を続ける若者の一部が記者会見し「一刻も早く外に出たいが、警察に包囲され、学内に閉じ込められている」と主張した。区議選については「公民としての責任を果たして投票したいが、外に出られず権利を奪われている」と訴えた。学内にはまだ30人超が残っており、精神的に不安定な学生もいるとした。

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