「梅の実ひじき」販売再開 納入業者の産地偽装で休止 確保にめど

西日本新聞 夕刊社会面 坂本 信博 押川 知美

 食材納入会社による産地偽装が発覚し、製造休止に追い込まれていた人気ふりかけ商品「梅の実ひじき」について、製造元の「十二堂えとや」(福岡県太宰府市)は25日、国産梅での販売を再開したと発表した。担当者は取材に対し「安定して梅を仕入れることが可能になった。安心して味わってほしい」と話している。

9月に西日本新聞「あなたの特命取材班」へ内部告発があり、北九州市小倉南区の食材納入会社の産地偽装が発覚。少なくとも5年以上前から中国産を「大分県産」や「国産」と偽って、えとやなどに販売していたことを認めた。この会社は、その後自己破産を申請した。

 梅の実ひじきに使う梅は全てこの会社から仕入れており、えとやは9月12日に製造休止を発表。その後、国内の複数の農家や会社から「力になりたい」との申し出があったという。最終的に、群馬、神奈川、和歌山の3県の加工メーカーと安定した取引が可能になったことなどから、製造再開を決めた。

 梅の実ひじきは、福岡土産として人気の商品。

「舌がしびれるほど試食」新しい味、味の再現に試行錯誤

 全国に認められた「福岡のふりかけ」の味をもう一度-。食材納入会社による梅の産地偽装で製造休止に追い込まれていた人気ふりかけ「梅の実ひじき」。製造元の十二堂えとや(福岡県太宰府市)が再開にこぎ着けることができたのは農家の協力やファンの励ましに加え、「舌がしびれるほどに、新しい梅の試食を繰り返した」という社員全員の「もう一度、自慢の味を楽しんでもらいたい」という執念だった。

本紙「あなたの特命取材班」の報道により産地偽装が発覚したのは9月。それまで、食材納入業者側からは定期的に「産地証明書」を発行。えとやは梅を国産だと信用し、産地偽装を見抜くことができなかった。「まさに寝耳に水の事態。すべての梅をこの会社から仕入れていたので、目の前が真っ暗になった」と友藤由美営業企画部長は振り返る。ふりかけの販売をすぐに中止した。

 再開に向け、最初の課題は年間90トンの梅をどう入手するか。梅の収穫は一般的に6月ごろの年1回で、収穫時に納入先が決まっている農家がほとんど。「今からでは手配できない」。あきらめムードが漂った。

 しかし、報道から数日後、「力になりたい」と農家や別の加工メーカーから梅の提供を申し出る電話が相次いだ。店舗を訪れた高齢の女性客からは「うちの庭にも梅の木がある。数十キロかもしれん。でも、力になりたか」と言われた。いかに「梅の実ひじき」が愛されてきたかを社員全員が実感したという。

 いずれも報道を見て申し出のあった県外三つの梅の納入業者と取引を決めた。ただ、本当の困難はここからだった。梅の味付けやカット法などのレシピを知っていたのは、偽装した業者だけ。弁護士を通じて聞いたが、なかなか以前と同じ味にはならなかった。

 塩や水の濃度はどうか、数日たっても同じ味を保てるか、歯応えの良いカットの方法は-。1カ月半かけて味付けを試行錯誤し、ようやく再現できた。「一時はもうやめようと思ったけど、製造をやめたらひじき納入会社や梱包(こんぽう)資材の会社も路頭に迷うかもしれない。それだけは避けたかった」と友藤さん。全国のファンからの店頭やメールでの「再開を待っている」との声も励みになった。

 これまでも国産の流通価格で加工梅を購入してきたことから、販売価格は変えない。「多くの支えのおかげで再開できた。再びたくさんの人に味わってもらいたい」。友藤さんは弾むような声で再スタートへの思いを語った。(押川知美、坂本信博)

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