福岡城跡の舞鶴公園には碑や像がいくつかある…

西日本新聞 オピニオン面

 福岡城跡の舞鶴公園には碑や像がいくつかある。万葉歌碑に大昔の博多をしのび、福岡連隊の碑や平和台野球場記念碑に昭和を思う

▼イチョウが舞う平和台陸上競技場に胸像が立つ岡部平太は、平和台の名付け親だ。戦後、一帯を接収した連合国軍総司令部(GHQ)と交渉し、その名の競技場を造った

▼終戦3年後の国民体育大会を福岡に誘致した岡部は自分で設計図を描き、GHQからブルドーザーを借りて工事を進めた。新刊「Peace Hill(下) 天狗(てんぐ)と呼ばれた男 岡部平太物語」(橘京平著、幻冬舎)に詳しい

▼この本の上巻で故郷の福岡、進学した東京で運動万能の才に目覚めた岡部は、下巻では米国に留学して多くの競技を持ち帰り、満州(中国東北部)にも渡ってスポーツの普及、指導で活躍する。時代がきなくさくなる中、長男を戦時の特攻で失う悲しみとも闘いながら

▼軍靴が響いた城跡の丘を「ピースヒルにしたい」とGHQに談判し、最高司令官マッカーサーに国体での国旗掲揚を認めさせた行動は、生涯全体と同様、真っすぐで熱い。そんな先人を、出身地の福岡県糸島市の子どもらは今年から新しい教材などで学んでいる

▼「Peace Hill…」を原作にした劇が来夏の東京五輪に合わせて上演される話も進行中。精神論より科学トレーニング理論に基づく指導も貫いた岡部の先駆的光芒(こうぼう)は、時を得ていっそう輝く。

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