ペットにも老老介護の波【きみとさいごまで】

西日本新聞

 老犬ホーム…。聞き慣れない言葉ですよね。簡単に言うと、自宅での飼育が難しくなったペットを長期間預かる施設です。ペットが年老いてお世話が大変になったり、高齢の飼い主が施設に入ったりしてやむなく預ける場合もあります。長期預かりが前提なので、普通のペットホテルや動物病院と違い、犬を放して遊ばせることができる「ドッグラン」などを備えている広めの施設が多いです。

 大型犬「ロットワイラー」のゴオ君(13)は昨秋、寝たきりになったことがきっかけで、うちのホームにやってきました。食事や排せつなど日常生活全てが介護なしでは難しく、体重が40キロ以上あるので、床ずれ防止の体位交換も一苦労。北九州市に住む飼い主の70代の女性は、ご主人を亡くしてからゴオ君と“2人暮らし”でしたが、1人で世話するのは難しいだろうと、遠方に住むお子さんの勧めで預かることになったのです。

 ご自宅まで迎えに行った時は「主人は本当にゴオの事が大好きでした。私が最後まで見てあげたかったのに。ごめんね」と涙を流されていました。

 犬の平均寿命は医療や飼育環境の向上で、この30年、9歳から15歳に延びたといわれています。人間に例えると50代から80代まで延びたことになり、かつて見られなかった「認知症」による夜間の遠ぼえなどの問題が出てきました。

 昔から定年後に犬を飼い始める人は多かったのですが、今ではペットの寿命が来る前に人間の方が入院や入所で飼えなくなるケースも増えています。人間の“老老介護”と同じような問題が最近になって表面化してきたわけです。

 私たちもできれば犬たちが飼い主の元で最期まで暮らすのが一番と考えています。けれど今は、犬も人も長生きする時代。人と犬が、共に幸せに年を重ねていける手助けができればと願っています。

    ◆    ◆

 熊本県菊池市の老犬ホーム「トップ」代表の緒方心(こころ)さんが日々をつづります。

PR

くらし アクセスランキング

PR

注目のテーマ