ソウル(韓国)下 ごみ山 今は絶景スポット

西日本新聞 夕刊 大城 勲

 黄金色に染まった一面のススキ野原の向こうに、韓国の首都ソウルを貫く漢江の流れや高層ビル群。市中心部から車で西へ約15分と近い「ハヌル公園」からの眺望は、まさに絶景の一言だ。ハヌル公園は、2002年サッカーワールドカップ日韓大会の際、韓国側のメインスタジアムが整備された「ワールドカップ公園」を構成する公園群の一つで、野原が空=ハヌルに届くようだと名付けられた。

 公園を訪れる市民や観光客は平日でも万単位に上るといい、快晴で11月としては異例の暖かさとなったこの日も、多くの人たちでにぎわっていた。そんな中でも、ひときわ混み合う一角を見つけた。フワフワのピンク色の穂が印象的なススキに似たピンクミューリーの畑だ。インスタ映えするスポットが大好きな若い女性やカップルたちでごった返し、行列に並ばないと撮影もできないほどだった。

 この美しい公園が、ごみの山だったとは想像もできない。元は漢江沿いの島だったが、約15年にわたってごみ埋め立て場となり、海抜98メートルの「世界最高のごみの山になった」(市資料)。悪臭、ほこり、メタンガス…。環境破壊が問題となり、1996年から環境改善事業に取り組んだ結果、季節を楽しめる自然豊かな公園になったという。

 日が傾きかけたころに公園麓にある登り口に戻ると、ハヌルを目指す人の列はまだ続いていた。環境破壊を放置してきた戒めと、それを克服した誇りの象徴として、この公園が市民に愛されているのだと感じた。

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 最後に紹介したいのは、ソウルの街の巡り方だ。ソウル観光は地下鉄の利用が一般的だが、行動の自由度では自転車が上だろう。ソウルは激しい交通渋滞とそれに伴う大気汚染が問題となっており、環境に優しい自転車の普及に力を入れているという。

 旅行者におすすめなのは「タルンイ」と呼ばれる自転車レンタルシステム。スマートフォンでインターネットに接続できれば、利用登録から決済までアプリでできる。自転車を借りたり返却したりするステーションは、地下鉄駅の周辺など1500カ所以上あり、配置台数は約2万台。1回1時間以内の利用なら千ウォン(約95円)で1日何回も使える。ステーションで説明を受けている短い間でも、自転車の出入りは絶え間なく、市民の移動アイテムとしてすっかり定着しているようだ。

 とはいえ、車がひしめくソウル都心を自転車で走るのは少し勇気がいりそう。そんな不安を少しでも解消しようと、市は一部車道を自転車優先道にしたほか、中心部の大通りに自転車専用レーンの設置も検討しているのだとか。遠くない将来、自転車での街巡りがもっと快適になっているかもしれない。

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 およそ四半世紀ぶりに訪れたソウルは、想像を超える変貌を遂げていた。街はさらに新しい魅力を加え、進化しようとしている。次に訪れたときはどんな変化に出合えるのか。国同士がうまくいかない今もなお、日本からのリピーターが絶えない理由が分かったような気がした。
 (大城勲)

 ●メモ
 ソウルへのアクセスは空路となるが、韓国の航空会社は相次いで日本の地方便を運休中。九州で現在、仁川空港に直行便が運航しているのは福岡、宮崎、鹿児島の3空港。仁川空港からソウル市内への移動は、空港鉄道やリムジンバスで45分~1時間半程度。

 ●寄り道=高架車道が憩いの場に
 ソウル駅のすぐそばに、ユニークな憩いの場がある。「ソウル路7017」と呼ばれ、かつては繊維工場などが集まる地域と市場がある地域を線路をまたいで結んでいた高架車道だった。老朽化により撤去されそうになったが、ホテルや観光資源が集中する駅周辺をつなぎ、さまざまなイベントに利用できるように歩行者専用道として再生されたという。高架車道ができた1970年、リニューアルされた2017年のそれぞれにちなみ「7017」となった。全長約1㌔の歩道上には記念品ショップやカフェ、ステージなどがあり、見どころ満載だ。

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