12分の遅延-。朝のバス…

西日本新聞

 12分の遅延-。朝のバス停は、皆いら立っていた。そこに、視覚にハンディがある高齢男性が1人でゆっくりと列に並んだ。もともと耳が遠く、最近急速に視力も衰えたとか。遅れてきたバスに乗る動作もぎこちない▼話を聞くと、周囲がほとんど見えなくなり、全盲に近い状態という。降車するバス停が近づいたら教えるよう頼まれたため、耳元で「次ですよ」と知らせる。男性は立ち上がったが満員の車内で手すりを伝って歩くのは難しく、なかなか進めない▼乗り合わせた人たちが状況を察し、サポートの連携が自然と生まれる。男性は繰り返した。「ありがとう、ありがとうね」。停車から降りるまで5分近く要したが、車内は温かい空気に包まれていた。もうバスの遅れなど、どうでも良くなっていた。(布谷真基)

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