ノーベル賞大村智さん 小国町で講演 「実学の精神」学んだ

西日本新聞 熊本版 佐藤 倫之

 熱帯感染症治療薬の研究で2015年、ノーベル医学生理学賞を受賞した大村智さん(84)の講演会が22日、小国町であった。大村さんは、同町出身で新千円札(24年度発行)の肖像画になる北里柴三郎を「学祖」とする北里大(東京都)で研究を続け、今も同大特別栄誉教授を務める。「尊敬する北里先生の歩みから『実学の精神』を学んだ。医学の使命は、病気の治療も大切だが、むしろ予防にある。その信念を実践躬(きゅう)行した人だった」と話した。

 北里は江戸末期の1853年、旧北里村の庄屋の長男として生まれた。熊本、東京医学校(現在の熊本大、東京大医学部)で学び、留学先のドイツで細菌学者のロベルト・コッホ(結核感染診断剤・ツベルクリンを発明、1905年にノーベル賞)に師事し、破傷風の血清療法を開発した。北里は31年、78歳で死去したが、実はこの血清療法研究で、第1回ノーベル賞(01年)の授賞候補リストに入っていたとされる。

 定時制高校教員を経て、北里が創設した研究所で抗生物質研究を本格化させ、ノーベル賞受賞に至った大村さん。祖母の口癖、中学時代に慕った国語の先生、大学スキー部の先輩、定時制高校教員時代の教え子…。多くの思いがけない「一期一会」「百折不撓(ひゃくせつふとう)」が大団円となり、今があるという。

 「人のためにどう生きるか。それが世の中に出て一番大切」

 「縁に気づかない人、気づいて生かす人がいる。縁を生かすポイントは恕(じょ)(思いやり)」

 「失敗を恐れ、挑戦しないより、チャンスを逃すことを恐れなさい」

 「よき人生は日々の丹精にある」

 「私の歩んできた道」という演題で、北里の足跡に触れながら、自他の言葉を紹介した。(佐藤倫之)

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