博多引き揚げ 道徳教材に 授業で活用2割止まり 福岡市立中学

西日本新聞 社会面 小林 稔子

 今年で開港120周年を迎えた博多港(福岡市博多区)は戦後、中国東北部の旧満州や朝鮮半島から約139万人が引き揚げてきた国内最大級の引き揚げ港でもある。引き揚げの記憶の風化が懸念される中、福岡市教育委員会は昨年発行した市立中学校用の道徳教材に初めて博多港の引き揚げを掲載したが、昨年度、実際に授業で扱ったのは全69校のうち15校と約2割だった。市民団体「引揚げ港・博多を考える集い」の堀田広治事務局長(82)は「もっと積極的に活用してほしい」と話し、若い世代への継承を呼び掛ける。

 道徳教材は人権読本「ぬくもり」で1995年に初版を発行。引き揚げが採用されたのは、昨年発行の第3版。「いのち」など6テーマ計18話が収録されており、引き揚げは「平和」のテーマの中の一話。

 「博多港の歴史から未来を考える」のタイトルで4ページにわたって紹介。引き揚げ船が博多港に帰港する様子や、現在の博多港の写真などを掲載。「戦後のめざましい経済発展の中、博多港も大きく様変わりしました。その中で悲惨な戦争や引き揚げの記憶は風化しつつあります」と説明し、「歴史を知ることは、今後、アジアの国々と友好的な関係を築いていくうえで大切なことではないでしょうか」と記している。

 市教委学校指導課によると、18話のどれを授業で取り上げるかは各校の裁量に委ねられているといい、本年度は約6割に上る41校が引き揚げを取り上げる予定という。

 また、福岡市内には引き揚げ関連施設として、市民福祉プラザ内にある資料展示コーナー「資料展『引揚港・博多』」や記念モニュメント「那の津往還」があるが、「どれだけの学校が施設やモニュメントを見学しているかは把握していない」(市教育センター)という。 (小林稔子)

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