長崎をナガサキと、広島はヒロシマと書くことがある…

西日本新聞 オピニオン面

 長崎をナガサキと、広島はヒロシマと書くことがある。日本国内の都市名を表すのではなく、被爆地として世界へ発信する時に使う表記である

▼74年前、人類の上に、日々の生活を営んでいた市井の人の上に核兵器が落とされた。ヒロシマは史上初の。そしてナガサキは史上最後の―とは、残念ながら言えない。今も世界には推定1万4千発もの核弾頭がある。第3の被爆地が出現しない保証はない

▼来日中のローマ教皇フランシスコが一昨日、両被爆地を訪れた。爆心地公園では献花の花輪に数十秒も手を添えた後で、目を上空に向けた。地獄の惨状を引き起こしたその瞬間に思いをはせる表情にも映った

▼「核兵器から解放された平和な世界。あらゆる場所で、数え切れないほどの人が熱望している」「核兵器のない世界が可能であり必要不可欠である」。穏やかで静かな語り口とは対照的な力強い訴え。宗教を超えて多くの人の心に染み入ったことだろう

▼無論、現実は厳しい。教皇の言葉で直ちに核兵器廃絶が加速するとは楽観に過ぎよう。だから、「この理想を実現するには、全ての人の参加が必要です」とも説いた。核なき世界への連帯を願った「ナガサキ・メッセージ」だった

▼昨日は東京で東日本大震災の被災者とも面会した教皇。高齢を押しての強行日程の中に数々の種をまいた。ひとときのイベントで終わらせないために、その芽を育みたい。

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