性犯罪の危険も…子どものSNS、危うい逃げ場に 被害防ぐには

西日本新聞 一面 御厨 尚陽 金沢 皓介

 大阪市の小学6年女児誘拐事件で、430キロ離れた栃木県の容疑者と女児をつないだのは会員制交流サイト(SNS)だった。同様の事件は九州でも相次ぎ、性犯罪に遭ったケースもある。スマートフォンは今や小中学生の大半が使う日用品。被害を防ぐために大人はどうすればいいのか。親が使用状況を把握できるアプリもあるが、子どもとの信頼関係に影響するため、どこまで“監視”を強めるか、悩ましさもある。

 ≪12歳の女子小学生です。親とけんかして家出しました≫

 ≪中学生です。今すぐ家出したい。誰か泊めて≫

 ツイッターで「家出」という言葉で検索すると、子どもとみられる書き込みがずらりと表示される。

 内閣府の2018年度調査では、スマートフォンの利用者は中学生の7割、小学生の5割に上る。

 警察庁によると、18年にSNSを通じて犯罪被害に遭った18歳未満の子どもは1811人。うち高校生が991人、中学生が624人、小学生も55人いた。罪種別にみると、児童買春・ポルノ禁止法違反が944人、淫行などの青少年保護育成条例違反が749人。略取誘拐も42件あった。

 今年3月には、SNSで知り合った福岡県の小学6年の女児を大阪のホテルに誘い出したとして、大阪市のアルバイトの男=事件当時(23)=が福岡県警に逮捕された。女児はSNSに「親が口うるさい」などと投稿していた。宮崎県警も16年6月、小学校高学年の女児を自宅に連れ去った疑いで、佐賀県上峰町の男子大学生=同(22)=を逮捕。女児は親から叱られて家出を考え、SNSで知り合った大学生に相談していた。

   ◆    ◆

 こうした事件に共通するのは、親や周囲に相談できない悩みなど、子どもの書き込みが発端となっている点だ。

 千葉大の藤川大祐教授(教育方法学)は「SNSは子どもたちにとって、家庭や学校への不満を吐き出す逃げ場となっている。SNSで知り合った人と会うのは危ないと分かっていても、オンラインゲームなど趣味を共有する相手とは信頼関係ができてしまう」と指摘する。

 低年齢化も際立つ。NPO法人「子どもとメディア」(福岡市)の山田真理子代表理事は「年齢が低い子どもほど警戒心が薄く、被害に遭いやすい」。SNSなど特定サイトへの接続を制限するフィルタリングサービスの使用率は3割強。昨年義務化されたが、解除方法を知る子どもも少なくないという。

 スマホの使用時間や閲覧履歴などを自宅のパソコンからチェックできるアプリもある。山田代表理事は「スマホを買い与える以上、必要な対策だ」と強調する。

 一方、多感な思春期は親への反抗期とも重なる。子どものスマホ利用について相談を受け付けている全国ICTカウンセラー協会(東京)の安川雅史代表理事は「過度な監視は親子関係にひびが入り、逆効果になる恐れもある。最も大切なのは親子のコミュニケーション。スマホは自宅リビングだけで使用したり、利用時間を制限したりするなど、各家庭で使用ルールを作って見守ることが大切だ」と話した。 (御厨尚陽、金沢皓介)

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