香港区議選 示された民意を尊重せよ

西日本新聞 オピニオン面

 香港の区議会(地方議会)選挙は、民主派が全議席の85%を獲得し圧勝した。香港の高度な自治と自由を奪われかねない現状に強烈な拒否反応を民意が示したと言える。

 香港政府とその背後に控える中国政府は、選挙結果を正面から受け止めなければならない。

 香港政府に地域問題を提言する役割にすぎない区議会だが、その選挙は香港市民が自らの意思を直接反映できる数少ない普通選挙だ。逃亡犯条例改正案に端を発した抗議活動が6月に始まって以降初の選挙である。香港政府に対する信任や若者らの抗議活動への賛否を有権者に問う機会と見なされていた。

 1997年の中国返還後、投票率が最高の71%に達するほど関心を集め、民主派が初めて議席の過半数を占めた。まさに歴史的な選挙となった。

 これまで一部デモ隊の行動が過激化し、取り締まる警察と激しく衝突した。その結果、死傷者を出し、道路封鎖や地下鉄の運行妨害などで都市機能までまひさせる事態に至った。それでも今回、多くの有権者が民主派に投票した意味は大きい。

 香港政府トップの林鄭月娥行政長官は選挙直後の声明で、選挙結果は「社会の現状や問題を巡る市民の不満を反映しているとの指摘がある」と反省の姿勢を見せたかのようだった。ところが、きのうの記者会見では民主派が掲げる「五大要求」に対して「一部は既に応じた」と述べ、普通選挙の導入などを拒否する方針を示した。

 一連の混乱を本気で収拾するつもりがあるのか疑問が残る。林鄭氏は過激な抗議活動が起きた原因を探る組織の設立を表明したが、民主派は警察の「暴力」を追及する「独立調査委員会」の設置を求めている。両者の溝は依然、深いままだ。

 事態を動かすには中国政府の柔軟な対応が必要だ。中国共産党は10月末に「香港の管理強化」を打ち出している。香港の動向が国内や来年1月の台湾総統選に影響を及ぼさないよう締め付けの強化が懸念される。だが「一国二制度」を尊重し、香港政府に一定の裁量を与えることが本筋ではないか。

 一方、抗議活動も負傷者を出すような暴力に訴える過激な行動を慎むべきだ。今回の選挙で民主派を支持した有権者が全ての過激な行為まで容認したわけではない。

 民主派は今回の圧勝で勢いづき、来年の立法会(国会)や2022年の行政長官の選挙に普通選挙を導入するよう要求を高めていくだろう。香港政府は対話によって混乱の収拾を図り、公正な選挙制度の実現といった政治改革を目指すべきだ。

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