独特の作風に挑み続けて 博多人形師の鶴田加奈子さん

西日本新聞 ふくおか都市圏版

持ち主に寄り添う存在に

 鉢巻きを締めた犬もいれば、にわか面をかぶった猫もいる。どれも皆、人懐っこい表情と愛らしい姿で見る者を和ませる。童話の一場面のような輝きを放つ作品を制作するのは、福津市在住の博多人形師鶴田加奈子さん(41)。「親しみやすくて、そばに置いておきたい、触れていたいと思える人形を作りたい。多くの人に力を与えるし、持ち主に寄り添う存在にきっとなるから」と語る。

 子どものころから絵を見たり描いたりするのが好きだった。旧・九州造形短期大学(福岡市東区)でデザインを学んだ後、かねて興味のあった「博多人形師育成塾」の門をたたいた。師事したのは、自由な作風も尊重するこの道60年以上の辻下重丸さん(83)。粘土で人形の表情や動きを生き生きと表現する技術にあっという間に魅了された。ひたすら制作と指導を受ける日々を過ごした。約5年を経て、2003年に独立した。

 「人を引きつける博多人形とはどんなものだろう」。自問自答を繰り返す中、思いがけない仕事が舞い込む。地元の宮地嶽神社で販売する博多人形のお守りの依頼だった。季節の植物やお祭りをテーマに、大きさは直径約2センチ。博多人形の世界では珍しい形の商品化だったが、納品した200体は発売と同時に完売。これを契機に、試行錯誤を繰り返して、犬や猫といった身近な存在に目を向ける現在の制作スタイルが出来上がった。

 独特な作風は、人伝えに広がった。今では年間7千体以上のマグネットやストラップなど小物類を作る。世相やニュースをヒントにし、新天皇即位やラグビーW杯をモチーフにした人形を手掛けたこともあった。

 人形師の道を歩んで今年で16年目。不定期ではあるが博多人形の絵付け体験イベントを企画するなど普及活動にも力を入れる。「時代が変われば求められる人形も変わる。いろんな人と触れ合いながら、その時代に合った新しい形を見つけていきたい」。鶴田さんの挑戦はまだまだ続く。 (帖地洸平)

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