島原市、湧水施設を断念 新庁舎計画「水量足りず」

西日本新聞 九州+ 真弓 一夫

 長崎県島原市が本年度末の完成を目指し、市中心部の旧庁舎跡に建て替え中の新庁舎に計画した「湧水」に触れる空間を断念していたことが分かった。水量を確保できないとしているが、市民や議会への説明はなく、十分に検討した形跡はない。「水の都」の看板を自ら下ろした格好で、市民もあきれ顔だ。

 市が2016年に定めた基本設計には「島原らしい湧水を活用した環境づくり」を進めるとある。市は「せせらぎ」を感じさせる水辺空間の創設を予定した。

 新庁舎は18年3月に着工。市は基礎工事で敷地(約5400平方メートル)のほぼ全域で最大二十数メートル掘削したが、「十分な水量が確認できなかった」(庁舎建設推進室)ため、湧水の活用は難しいと判断。庁舎前広場に湧水をイメージした丸形のデザイン舗装を施すことにしたという。

 だが、市民は納得しない。旧庁舎があった同じ場所には湧水を活用した噴水があり、冷たい清水は市民の誇りだった。水の都の観光を支えようと、庁舎周辺の自営業者らは自費で掘った湧水でせせらぎを創出し、飲み水として観光客をもてなしている。

 市はボーリング掘削や周辺の水源の活用は検討していない。しかし、地元住民によると、一帯では百数十メートル掘削すれば水が出るのは常識という。自営業者や商店主らは「街の側溝の清流を導くだけでも水辺空間が創出可能なのに」と市の対応に首をひねる。

 鉄骨5階建ての新庁舎の総事業費は約52億円。島原湧水群は1985年に環境庁(現・環境省)の「名水百選」に選ばれ、「鯉の泳ぐまち」は観光名所に。古川隆三郎市長は27日、取材に対し「湧水施設は必要。ボーリングの実施も含め、実現に向け再検討する」と方針転換の姿勢を示した。 (真弓一夫)

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