どうする「食品ロス」現状は? 国連「30年までに半減」目標

西日本新聞 くらし面

 まだ食べられる食べ物が捨てられる「食品ロス」。国連は「持続可能な開発目標(SDGs)」の克服すべき課題の一つとして、世界全体で2030年までに、小売・消費レベルにおける1人当たりの食料廃棄を半減する目標を打ち出し、国内では食品ロス削減推進法が制定された。家庭、小売り、外食の現場の「もったいない」状況を探った。

 11月中旬、福岡市東区のごみ焼却処理施設。強烈な腐敗臭が漂う中、防護服と防じんマスクを着けた十数人の職員が、家庭から収集されてきた「燃えるごみ」の内訳調査に当たった。

 05年度から市の保健環境研究所が毎月行っている定例調査だ。紙類やプラスチックのほか、台所から出る魚や野菜のくず、食べ残しなどを含め、種々雑多なごみを細かに仕分けし、廃棄物減量やリサイクル推進の方法を探る。

 16~18年度は、手を付けることなく直接廃棄された食品など、食品ロスを重点的に調べた。

 ミカンにリンゴ、タマネギ、キャベツ、パック入り総菜、袋菓子やインスタントラーメン、チューブ入りのからし、小麦粉や砂糖のパック…。3年間で調べた計1764の収集袋のうち、手付かずの食品が入っていたのは723袋。全体の41%に上った。

 市から1年間に排出される家庭系の可燃ごみは約26・6万トン(生ごみは約30%)。これらは焼却場で大量の二酸化炭素(CO2)を排出しながら焼却灰となり、最終処分場へ運ばれる。

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 北部九州で68店舗を展開する「にしてつストア」(福岡県筑紫野市、年商約750億円)は、3年ほど前から、毎年30%の食品ロス削減を目標に取り組む。

 同社の食品ロスに伴う損失額(19年4~9月)は、販売価格で換算すると約1億1千万円。「利益率が売り上げの2%あれば優良企業」といわれるスーパー業界では、食品ロスの削減は経営に大きく関わる問題でもある。

 ロスになりやすい食品の一つが生鮮品や総菜。売れ残りを抑えるため、客足がピークを迎える時間帯(午後4~7時)に、品ぞろえを絞ったらどうなるか。

 来店客のニーズに十分応えきれず、店が本来得られたであろう利益を逸するチャンスロス(機会損失)を招く恐れが強い。ある程度のロスは、コンビニやドラッグストアと違い、傷みやすい食品を多く扱うスーパーの宿命でもある。

 「それでも廃棄となれば売り上げはゼロ。消費期限や賞味期限が迫った食品は、値引きしてでも買ってもらう方が経営にも環境にもいい」と、同ストアの新村昌広取締役。

 同社は今、そうした値引き品を買うことは環境を守ることにもつながる、といったメッセージが、消費者に伝わるような販売方法を検討している。

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 「これ包んでくれる?」。福岡市中央区の中華レストラン「福新楼」で、宴会を終えた客が、食べきれなかった料理を折り詰めにしてもらっていた。

 「お客さまには、これから先は自己責任であることを確認した上で、お渡ししています」と張光陽社長。

 ただ、こうした持ち帰りは火を通した料理が多く、大皿から取り箸などで取り分ける中華だからできること。「生ものが多く、めいめいの皿に盛る和食や洋食ではリスクを考えて、ごみにするしかないでしょうね」

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  食べ物があふれ、日々、消費されず捨て去られていく日本社会。一方で飢えに苦しむ人は国内にも少なくない。浪費を道徳的に戒めるだけでは改善への道は見えてこない。さて、どうするか。次回以降、考えていく。(佐藤弘)

食品ロス削減推進法】世界には飢餓など栄養不足の状態にある人々が多数いる中、日本は食料の多くを輸入に頼りながらも、まだ食べられる食品を大量に廃棄しているとして、食品ロス削減は真剣に取り組むべき課題‐との認識に立ち、今年10月1日に施行。国と自治体には、ロス削減のための施策づくりとそれを実施する責務を規定。食品に関わる事業者には、国や自治体の施策への協力に努める義務を、消費者には、食品の購入や調理の方法を改善することなどで自主的に削減に努める義務を定めている。

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