長崎市の常設型住民投票条例 本年度制定に黄信号

西日本新聞 長崎・佐世保版 徳増 瑛子

 長崎市が導入を目指す常設型住民投票条例の「本年度中」という制定目標に黄色ランプがともっている。議会との調整に時間を要したためだ。背景には、住民投票で市民の意見を反映させる手法が一般化すれば議員の存在感が薄れる、との不安があるようだ。

 「議員の役割が分からなくなる。存在意義にかかわる」「まるで市長のパフォーマンスじゃないか」―。条例の制定を巡り一部の議員から漏れ聞こえる言葉だ。

 現行の住民投票は有権者の50分の1の署名が集まった場合に限って、地方自治法の規定に基づき市長が議会に住民投票実施条例の制定を諮る仕組み。だが、議会が反対すれば投票には至らない。同市では2016年からの3年間で「至らない事態」が5回続いた。

 田上富久市長も何らかの対応策の必要性を感じていたとみられ、今春の市長選では常設型の制定をマニフェスト(公約)に掲げ、当選後の定例会見で導入を正式に表明した。8月には大学教授や弁護士、自治会関係者ら8人でつくる審議会の議論がスタート。市は当初、11月定例会に条例制定案を提案するつもりだった。

 ところが市が9月定例会で議会に審議状況を報告した際、議員から「議会の意見も聞くべきだ」との指摘を受けたため、市は作業に必要な時間を考慮し、提案を見送った。実際、議会から意見が届いたのは10月末。条例案に反映するのは困難だったとみられる。

 議会が意見を述べる機会を求めた背景にあるのは「ないがしろ」への不安。ある議員は審議会で協議中の住民投票に必要な署名数について「ハードルを極端に低くして頻繁に住民投票が起きれば、議員の立場はない」と言い切る。市総務課はこうした声に対し「いろんな意見を踏まえて検討する」と慎重な姿勢を示す。

 これまでの審議では、必要な署名数は「有権者の6分の1以上」、投票資格は「一定期間在留している外国人も認めるべきだ」との意見が多く上がっている。(徳増瑛子)

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