大刀洗の空の物語 ギンギラ太陽’s「幻の翼」

西日本新聞 筑後版 大矢 和世

 現在の大刀洗町、筑前町、朝倉市にかけて存在した「旧陸軍大刀洗飛行場」が10月、創設100周年を迎えたのを記念し、大刀洗町で福岡市の人気劇団「ギンギラ太陽’s」による舞台「幻の翼 震電」が上演された。2006年の初演ながら、大刀洗での取材を経た「大刀洗バージョン」として物語は進んだ。

 ギンギラの舞台作品はかぶり物を身に着けた役者が建物や車両など実在の「モノ」を演じるのが特徴。舞台に登場したのは、大刀洗町民におなじみの国道沿いのうどん店だった。

 「自慢のうどん、食べてってね!」。朗らかに呼び掛ける店の横にひっそりたたずみ、肩を落とす「柱」がいる。大刀洗を拠点に技術兵を養成した「第五航空教育隊」の北門のうち、片方だけ残された門柱だ。「弾がめり込んだ痕じゃぞ」。古傷が痛む様子の柱の下に、かつて、飛行場を行き交った飛行機たちが集まってくる-。

 劇団主宰の大塚ムネトさん(小郡市出身)が手がける脚本は、史実を丁寧に取材しながらも人情があふれる軽妙さが持ち味。登場する「モノ」たちの昔語りから、飛行場を支えるたくさんの人々がいたこと、「町、人、操縦士の命も守ろうとした」戦闘機開発が絶たれたこと、姿を変えて今にも息づく技術や志があることが見えてくる。

 「大刀洗から始まる空の物語」。決然とした言葉で物語が締めくくられると、会場は拍手に包まれた。

 終演後はトークイベントも開かれた。大塚さんは初演より大幅に改稿したことについて「北門を実際に触って、これだけ硬いものがえぐれて、しかも片方だけ残っている。そう思ったらおじいちゃんがあれやこれや語りだすようで、背中を押された」と振り返る。

 「大刀洗飛行場」という場所の可能性については「戦争の悲劇は悲しい歴史になってしまったけれど、ここにはロマンやわくわくを感じさせる空があって、100年前にもそんな人たちがいた」と話し、「毎年ここで上演したい。子どもたちと舞台をつくりたい」と期待を込めていた。 (大矢和世)

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