学校外での学び、割れる出席扱い 不登校の子支援明記 法施行3年

西日本新聞 総合面 四宮 淳平 金沢 皓介

柔軟な対応 求める声

 不登校の子どもたちへの支援を明記した教育機会確保法が来年2月、施行から3年を迎える。国は法の検証と見直しに向けた作業を進めているが、立法過程で抜け落ちた、学校外での学びをどう認めるかという議論は低調だ。公教育の枠に収まらない子どもの受け皿を担う民間教育施設での学習を公的に認めるかどうかの判断は分かれ、進路決定に影響を与えている。学校に行かない、行けない子どもが増える中、公教育の在り方も問われている。

 狭い選択肢

 福岡市南区の住宅街。民家を活用した教室で、教師が独自の教材を使い、国語や算数、水彩を教えている。発達段階に応じた学びを重視し、一定期間は特定の科目を重点的に教える福岡シュタイナー学園。フリースクールの一つで、小中学生約40人が公立学校に在籍しながら通っている。

 文部科学省が1992年に出した通知で、学校外の教育施設に通っても、在籍する学校長の判断で「出席」したことにできるようになった。ただ、学園が在籍校に依頼すると「学校への復帰が前提」と言われた。

 学園には、指導理念に共感して通う子どもが目立ち、学園側も在籍校への登校を促すことはない。結果、出席扱いにならず、在籍校における出席や成績などの「公式記録」はほぼ白紙。「もっとフラットに評価してもらいたい」。運営するNPO法人の野中優代表理事(49)は納得できない。

 中学校の調査書が出席ゼロでは、公立高への進学は難しい。昨年度の卒業生2人は「当初から公立は頭になかった」と話し、広域通信制の私立高に進んだ。野中さんは「選択肢を狭めないでほしい」と訴える。

 不登校が条件

 学園の子どもの多くは在籍校に長期間通っていないが、「不登校」ではない。

 文科省の調査上は、保護者の教育に関する考え方などから長期欠席(年30日以上)している「その他」に分類される。家庭の事情なども含めた「その他」は昨年度、全国の小中学校で約2万6千人に上った。

 確保法の当初案には、子どもの居場所となるフリースクールや自宅学習など学校外の学びも、広く義務教育として認めることが盛り込まれていた。しかし、「学校に行かないことを助長する」などとして、最終的に不登校対策に一本化。「その他」の子どもたちへの支援は法の枠外となった。

 一方、学園が取り組む教育方針以外にも異学年で1学級を構成するイエナプラン教育など、価値観の多様化や公教育への疑問などでオルタナティブ(もう一つの)といわれる教育へのニーズは年々高まっている。

 北海道大の横井敏郎教授(教育行政学)は「学校以外の教育施設に通っている場合でも、教育内容を踏まえて柔軟に出席扱いにするべきだ」と語る。

 現法は対症療法

 文科省は確保法の検証作業を進めるが、大きく見直そうとする動きは鈍い。6月に取りまとめた有識者の意見も、対策の多くはスクールカウンセラーやソーシャルワーカーの拡充が主だった。

 こうした「対症療法」ではなく、不登校が増える学校の在り方を変えるよう提案する意見もある。

 埼玉大の高橋哲准教授(教育法学)は「学校が硬直し、子どものニーズに沿うものが提供できない結果、なじめない子の排除につながっている」と指摘。例えば、全ての学校を対象にした全国学力テストは子どもの評価の画一化を促す結果になっているとし、「廃止、もしくはテストを受ける学校を抽出にするべきだ」と主張する。

 フリースクールなどを公的に認定し、義務教育の幅を広げることについては「経済事情などで選べる人が限定されないためにも、学校の充実と一緒に進めないといけない」としている。(四宮淳平)

【教育機会確保法】不登校の子どもを国や自治体が支援することを定めた法律。全国のフリースクール団体が中心となり、学校外の多様な教育の選択を可能とする法整備を求めたのが発端。ただ、教育の規制緩和に対する懸念が高まるなどし、不登校支援を柱に2017年2月に施行された。国や自治体は安心して通える学校環境の整備や、不登校の状況に応じて支援する責務を負ったが、財政措置は努力義務。施行後3年以内に見直しを検討する付則がある。確保法との整合性を保つため、文部科学省は今年10月、不登校の子が学校復帰を希望しなくても在籍校を出席扱いにできるとする通知を全国の教育委員会に出した。

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ