英語民間試験、公平性保てる? 検定業者が教材販売

西日本新聞 一面 下村 ゆかり

「規定ない」文科省容認

 大学共通入学テストへの導入が予定される民間英語検定試験の一つ、「GTEC」を提供するベネッセコーポレーション(岡山市)が、中高生向けに同試験の対策教材を販売することに対し、疑問の声が上がっている。「新教材を購入できる生徒が受験で有利になり、公平性が保てないのでは」との意見だ。文部科学省は「販売を禁止する規定はない」と容認する一方、ベネッセの別の類似事例では是正指導を行っており、対応が定まっていない。

 「このアプリでは、実際のGTEC試験に対応した問題を提供します。生徒さんの受験にも有利ですよ」

 ベネッセの営業担当者は今年、都内の高校の進路指導主任や英語教師を訪問し、2020年から販売するという新教材アプリを紹介した。資料には「検定前のリハーサルにもなる『GTEC実践問題』」を提供すると記されており、担当者は学年全体での入会を勧誘。費用は生徒1人当たり年額5500円だった。

 18年3月に共通テスト導入が決まった民間英語検定試験は7種類あるが、うちGTECは中高生を中心に年間126万人(18年度)の受験生を誇る。文科省は今年11月に入り、急きょ導入時期を24年度に延期したが、ベネッセは当初予定だった20年度の新制度開始を前提にこうした営業活動を先行していたとみられる。

 文科省は問題視しない姿勢だが、都内の公立高校教諭は「試験を行う事業者が出す対策問題を事前に解いた生徒は、他の生徒より高得点が望める。ただ、各家庭で経済事情は異なるので、学年全体で教材費を上乗せすることは簡単にはできない」と困惑する。

 20日の国会審議では、20年度に共通テストに導入予定の国語の記述式問題でも似た事例が明らかになった。城井崇議員(比例九州)は、ベネッセが採点業務に関するアドバイザリー業務を受託した後の17年9月、高校関係者向けに受託の事実と併せ、教材などを紹介する会を開いていた資料を提示。文科省の見解をただした。この時は、萩生田光一文科相が「ベネッセに厳重抗議し、是正を促す」と答弁。文科省は翌21日、「中立性や信頼性に疑念を持たれないよう、より一層の留意を求める」などと口頭注意した。

 取材に対し、ベネッセは「新教材アプリの営業では、GTECが共通テストに導入されることをPRしていない。導入自体も延期されており、従来のGTECとその教材を提供することに問題はないと考えている」としている。

 ただ、GTECは既に共通テスト以外にも、九州大など多くの大学の一般入試でも活用されている。立教大の鳥飼玖美子名誉教授(英語教育)は「文科省は営利を追求する民間に全てを任せてしまわず、適切な対応を行うべきだ。このままでは生徒は試験対策に傾倒し、本来の目的である英語力の向上は二の次になってしまう」と指摘している。(下村ゆかり)

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