SNS世代 危険性も十分に教えたい

西日本新聞 オピニオン面

 パソコンを触ったことがない若い世代が増えている。さらに一歩手軽なスマートフォン(スマホ)を、幼少時から利用できる環境が整っていた若者たちである。「スマホネーティブ」世代とも呼ばれる。

 スマホの便利な機能の一つである会員制交流サイト(SNS)を悪用した犯罪が後を絶たない。大阪市で行方不明となり栃木県小山市で保護された小学6年女児も、未成年者誘拐容疑で逮捕された30代の男とはSNSで知り合ったという。

 いや応なしに社会生活のデジタル情報化が進んでいる。タブレット端末を使った授業など学校も例外ではない。危険性と隣り合わせの環境にいる子どもたちをどう守っていくか。ますます重要な課題となっている。

 SNSを通じて犯罪被害に遭った18歳未満は昨年、1800人余で、高止まりしている。アクセス手段はスマホが9割を占め、パソコンを圧倒した。被害者の9割は中高生が占めた。小学生は3%の55人だったが、それでも10年前の4倍超だ。被害が急速に低年齢層に及んでいる実態を示している。10代のスマホとSNSの利用率は既にそれぞれ8割を超えている。

 高市早苗総務相は大阪の誘拐事件を受け、携帯電話大手NTTドコモなどが所属する通信関連4団体に対し、啓発活動などの対策強化を求めた。事業者にとっては当然の責務である。

 昨年被害に遭った1800人余のうち、有害サイトにつながらないようにする「フィルタリング」機能を使っていたのは1割程度にとどまった。

 異性との交際に出会いの場を提供する出会い系サイトについては、2003年に規制法ができるなど対策が進んでいる。

 ただ、出会い系には当たらない交流サイトは規制が甘い面がある。誰もが匿名で簡単に参加でき、共通の趣味などで集うため、警戒心も薄れがちだ。

 学校や家庭で、ネットでID(個人を識別する情報)や本名を安易に相手に教えないよう強く指導したい。優しい言葉にだまされるケースはしばしばだ。大阪の事件で容疑者の男は本名などを明かさず、言葉巧みに女児を誘い出した疑いがある。

 神奈川県座間市で一昨年、男女9人の遺体が見つかった事件は記憶に新しい。強盗強制性交殺人罪などで起訴された男もSNSを使い、複数の女子高校生を含む被害者を自宅に誘い込んでいた。孤独感の解消などをSNSに依存する若い世代をどうサポートするかも重要課題だ。

 「スマホを使わせなければよい」という時代ではない。幼いころからSNSが併せ持つ危険性を教えていきたい。

PR

社説 アクセスランキング

PR

注目のテーマ