石木ダム、二審も住民敗訴 福岡高裁「事業利益、損失上回る」

西日本新聞 社会面 岡部 由佳里 平山 成美 鶴 善行

 長崎県と同県佐世保市が計画している石木ダム(同県川棚町)を巡り、反対する住民ら106人が国に事業認定取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が29日、福岡高裁であり、西井和徒裁判長は「事業認定の判断に裁量を逸脱した違法はない」として、一審長崎地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。原告側は上告する方針。

 石木ダムは1975年に事業採択されたが、移転対象のうち13世帯は土地の買収に応じず、建設予定地に残った。国は2013年に事業認定。今月18日には全ての事業予定地が明け渡し期限を迎え、行政による強制撤去が可能な状態となっている。

 判決で西井裁判長は、佐世保市が生活用水や工業用水の需要が増加すると見込んだ試算について「不合理な点があるとはいえない」との一審判決を踏襲。また、移転対象の住民には代替宅地が用意されていることを踏まえ「事業による公共の利益は生活用水の確保や洪水調節という地元住民の生命に関わるもので、原告らの失われる利益を優越している」と述べた。

 石木ダムを巡っては、水没予定地の住民ら約600人が長崎県と佐世保市に工事差し止めを求める訴訟を起こしており、来年3月に判決が言い渡される。 (鶴善行)

■住民落胆「撤回まで闘う」

 石木ダム建設予定地の住民らが国の事業認定取り消しを求めた訴訟で、控訴棄却の判断を示した福岡高裁前に集まった住民たちは、落胆しつつも「建設撤回まで闘おう」と意気込んだ。

 ダム予定地を巡っては今月19日から、長崎県による行政代執行の手続きが可能になったばかり。高裁前では判決後も原告や支援者ら約70人が「石木ダムNO!」のプラカードを掲げた。その後の集会では原告の一人、ダム予定地の川原(こうばる)地区で暮らす岩下和雄さん(72)が「50年闘ってきて判決は3秒。判決がいかに不当かを最高裁に正してもらいたい」と訴えた。

 弁護団の馬奈木昭雄弁護士は上告する方針を示しており、原告の石丸キム子さん(69)は「裁判がどうあっても川原に住み続ける」。岩本菊枝さん(70)は「また月曜日に弁当を持って頑張りましょう」と述べ、週明けも予定地で座り込みを続ける意向だ。

 一方、事業主体の長崎県の中村法道知事は判決について「事業の公益上の必要性が認められた。地元住民の理解が得られるように粘り強く取り組みたい」と述べるにとどめた。 (平山成美、岡部由佳里)

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