アイデアをつなぎ、生かす 吉弘拓生氏

西日本新聞 オピニオン面

◆都市と地方

 今年4月から、東京・日本橋にある地域活性化センターに勤務し、民間、国、地方公共団体から派遣されている約90人の仲間とともに様々な事業を進めている。

 これまでは福岡県うきは市、群馬県下仁田町といった現場側で地域づくりに携わってきた。現在はその後押しをする機関での勤務で全国で講演などを行い、ワクワクする社会づくりに向けた次代を担う人材育成に尽力している。

 全国に出向くことが増え、その土地特有の課題や悩みにも触れ、考える機会が増えた。各地で必ず聞かれるのが都市部と地方の違いだ。

 東京に来て感じていることは、「情報」「アイデア」「スキル」などがあふれていることだ。自分を磨くための様々な学びの場も日々開催されている。私自身も働き方改革、仕事と休暇を融合するワーケーション、令和時代の公務員のあり方「レンタル移籍制度」を考えるコミュニティーに参画している。

 これらの勉強会では「スキルを地方で生かせないか」「アイデアを実現できる場所がないか」といった議論や対話がなされている。要は縁のない地方とどうつながれるかを模索する場面が多いということだ。

 一方、地方に出向くと「何もない」「アイデアがない」「つながりがない」「やる人がいない(後継者不足)」といった嘆きが必ず出てくる。

 両者は、共通のことを悩んでいる。なぜ、そこがつながらないのか、その機会がなぜないのかと思うことが多い。つなぐ人材育成が急務だ。同時に情報が正確に伝わってないことも多く、これらを防ぐ“伝達者”の育成も不可欠であり、ミスマッチそのものも無くしていきたい。

 都市部で生まれる様々なアイデアは、それを価値にする現場があって初めて成り立つのだ。両者にとって、何がベストな選択なのかを、目先の利益やコストだけを見据えた取り組みだけではなく、いかに地域に寄り添って考えるかという視点も必要だろう。

 地方にこそチャンスがあり、そのチャンスも選択できる時代。同時に、外部人材やノウハウなどを地域として受け入れることへの覚悟が求められるし、地域として現状がベストであるのならば、持続可能な地域づくりの視点で「変わらない」と言う勇気も必要だと考える。

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 吉弘 拓生(よしひろ・たくお)地域活性化センター クリエイティブ事業室長 1981年生まれ、福岡県久留米市出身。同県うきは市職員、群馬県下仁田町副町長などを経て2019年4月より現職。地域活性化センターでは企画課担当課長と人材育成室担当課長も兼ねる。

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