黄砂飛来 「胎盤早期剥離」に影響? 東邦大、九大、国立環境研が分析

西日本新聞 医療面 井上 真由美

1、2日後に症例増加

 黄砂が飛来した1~2日後は母子の命にもかかわる常位胎盤早期剥離(はくり)が増加していることが、東邦大や九州大、国立環境研究所のグループの研究で分かった。東邦大の道川武紘(たけひろ)講師(環境保健学)は「微生物や大気汚染物質を含む黄砂と早期剥離の関連を明らかにすることで、早期剥離の発生メカニズムの解明やリスク指標の構築につなげたい」としている。

 出産後に子宮壁からはがれる胎盤が、胎児が子宮内にいる段階ではがれてしまう早期剥離は、胎児への栄養や酸素の供給が減り、大量出血を伴うケースもあるなど母子ともに危険にさらされる。妊婦の約1%に起こる。

 グループは、呼吸器疾患などを引き起こすとされる黄砂が妊婦と胎児に及ぼす影響に着目。高度120~270メートルの黄砂の濃度分布を計測できる装置が設置されている長崎、島根、東京、新潟など9都府県で、2009~14年の6年間の黄砂飛来日を確認した。

 一方、日本産科婦人科学会の周産期登録データベースを活用して、9都府県での同時期の出産を分析。登録に協力している113病院で出産した3014人(多胎を除く)を対象に、年齢や血圧などのリスク要因を考慮して、黄砂飛来日との関連を解析した。

 この結果、6年間の黄砂飛来日数は15日(新潟)~71日(長崎)。飛来から1~2日後は早期剥離を伴う出産が、飛来していない日の1・4倍に増加。妊娠35週以降の緊急分娩(ぶんべん)に絞ると、1・6倍に増えていた。ただ、活用した出産データは全出産の3割にとどまる。また、上空での黄砂測定のため、気象庁の観測データとはずれが生じるという。

 グループは「黄砂中に、炎症を引き起こして早産の原因となる物質を含む微生物、大気汚染物質の二酸化窒素などが巻き込まれ、それを肺に吸い込むことでリスクが高まるのではないか」と推測。「対策は今後の課題となるが、まずは妊娠後期の妊婦は黄砂が予測される日は外出を避けた方が良いだろう」と指摘している。

(編集委員・井上真由美)

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