カンボジア医療 自立へ合同拠点 九大出身の歯科医と医師 人材育成も

西日本新聞 医療面

 九州大出身の歯科医と総合診療医が今月中旬、カンボジアの首都プノンペンに歯科医科合同クリニックを開設した。まず歯科治療から始め、住民の健康診断、現地の歯科医や医師の教育も担う。開設には、世界各地で支援活動に携わる九大同窓生が「自立支援の会」を設立して協力。同クリニックを拠点に、カンボジアやスーダンなど途上国の医療環境向上に寄与していくという。

 合同クリニックは「サマディ・デンタルクリニック」。歯科医の平山恵理子さんがクリニック長として常駐し、総合診療医の進谷憲亮さん(32)が来年1月から非常勤で初期診療に当たる。日本人の歯科衛生士と、医療資格のないカンボジア人2人も常勤で働く。

 平山さんは1994年に九大歯学部卒業後、福岡市で開業。2008年にカンボジアを訪れ、子どもたちが劣悪な衛生環境に置かれ、感染症などの危険にさらされている実態を知った。09年には自らのクリニックを閉じて単身カンボジアに赴き、ボランティアで歯磨き指導を始めた。

 10年間の地道な活動とカンボジアの経済発展により、子どもの健康や歯を守る意識が芽生えつつある。歯科検診や虫歯予防教育の依頼は増え、初めて歯磨き指導をした小学校では乳歯の虫歯罹患(りかん)率が20%減少するなど、一定の成果はあった。

 ただ、現地の歯科治療は抜歯に頼るなど未熟で、歯がないまま生活して身体の健康を損なう人も少なくない。本当の意味で子どもの歯の健康を守れないと実感し、現地での開業を思い立った。

 進谷さんは、国際医療支援を行うNPO法人「ジャパンハート」(東京)での活動経験があり、途上国の子どもの健康管理に詳しい。カンボジアでの医療奉仕を模索していたことから、合同クリニック開設につながった。

 クリニックでは質の高い最新医療を提供しつつ、健康教育や病気予防の概念も伝える。治療費は安く設定しているが、無料ではない。無料では「施し」と受け取られ、患者が真剣に治療に向き合わなくなるためだ。「健康管理意識が低いカンボジアでは、ただ治療するだけでは不十分。虫歯や歯周病の予防法に関心を持ってもらう拠点にしたい」と平山さん。さらに、現地の医療従事者向けのセミナーなどを開き、将来的にカンボジア人によるクリニック運営を目指す。

 開院に関わった自立支援の会は、平山さんと進谷さんのほか、一般財団法人「カンボジア地雷撤去キャンペーン」(福岡市)の大谷賢二理事長、スーダンで医療支援を続ける北九州市の認定NPO法人「ロシナンテス」理事長の川原尚行医師、九大歯学部臨床教授の経験がある歯科医西原正治さんの5人が創設。各団体で情報交換しながら、他の途上国にも支援を広げたいと意気込んでいる。

 (嘉悦洋)

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