高校生の就活ミスマッチ課題 3年内に4割離職 改善へ合同説明会も

西日本新聞 一面 四宮 淳平

 多くの業界で人手不足が続き、新規高卒者の求人倍率も上昇傾向にある中、就職後1年以内に2割近く、3年以内に4割前後が退職するなど生徒と企業のミスマッチが課題となっている。業務内容の情報が乏しいまま就職することが一因とされており、企業と高校生が直接やりとりできる場を増やして改善を図ろうと、合同説明会を企画する企業が現れている。

 「そちらの卒業生が連絡もなく、急に出社しなくなりまして…」。4月前半、企業担当者からの電話に福岡県の高校の男性教員(40代)は驚いた。菓子折りを持参し、頭を下げると「入社式で居眠りしていた」とも聞かされた。教員は「内定時期も遅く、就職先に迷いがあったのかもしれない」と振り返る。

 毎年50人前後が就職する同校。半年もせずに複数が離職している。大半が電話もつながらず、退社理由は分からないままだ。

 新規高卒者の就活日程は、高校や経済界、国の協議で毎年決まる。今年は7月から企業が学校に求人を出し、9月に企業の内定が解禁。ほとんどの都道府県で「1人1社制」の慣習があり、生徒は1社ずつしか採用試験を受けられない。

 先の高校でも、この日程に沿って三者面談などで生徒の意向を聞き、希望を出してもらった。企業見学はできても、あくまで入社試験を受ける生徒だけ。見学はせず、求人票とネット情報で選ぶのが実情という。

 来春卒業の高校生の求人倍率は9月末時点で2・75倍に上り、1994年以降で最高だったが、近年の3年以内での離職率は大学新卒者より6~9ポイントほど高い。

 福岡県内の別の高校教員は「(新卒時は)企業選びから面接日程の調整まで学校が行うが、いったん退職すると次の仕事の探し方、相談先も分からない卒業生は少なくない」と明かす。

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 こうした現状に目を付けたのが、高校生の就職支援企業「ジンジブ」(東京)。今年から全国各地の高校やオフィスビルで合同企業説明会を開き、10月には福岡市でも開催した。

 高校生からは「内定を断りたかったが許されなかった」「校内選考で負けて、希望した企業の受験すらできなかった」など、現状の選考方法への不満も届く。佐々木満秀社長(51)は「現在の就職活動の在り方は限界。もっと生徒が主体的に決められれば」と話す。

 とはいえ、行政や財界、教育機関の申し合わせで、行政主体ではない合同説明会を“抑制”する都道府県もある。実は福岡県もその一つ。福岡労働局は「開催情報が届かない高校や、授業で参加できない場合もあるため公平性が担保できない」と説明。開催する際は「採用選考につながる情報のやりとりはしない」と申し合わせているという。

 大分労働局は対象を3年生に絞り内定解禁以降であれば「問題ない」との位置付け。開催を禁じる法律や罰則があるわけではなく、見解は地域で異なる。

 毎年80人前後が就職する福岡県内の高校で進路指導を担う男性教諭(50代)は、早期に辞める卒業生の特徴を(1)業務内容は二の次で自宅から通える場所を選定(2)就職先での研修が短い-などと指摘。生徒が自発的に探し、試験に挑んだ場合は長続きしやすいという。「合同説明会もルールを定めて運用すれば生徒は業務内容を知ることができるし、仕事の認識も深まる」と話している。 (四宮淳平)

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