音楽はファンタジー、原点に戻って 新作「RAINBOW CHASER」4日発表

西日本新聞

 伊藤銀次 どこまでも㊤

 1970~80年代の日本で生まれたシティ・ポップの黎明(れいめい)期を「シュガー・ベイブ」のギタリストとして活動した伊藤銀次さん(68)が12月4日、新作アルバム「RAINBOW CHASER」を発表する。シティ・ポップが海外から注目される今、原点回帰し、当時のサウンドを感じさせる楽曲をそろえた。表題曲で〈虹をめざして どこまでも 行こう〉と理想の音楽を追い続ける気持ちを歌う銀次さん。3回にわたって思いを紹介する。

 「70年代当時は、ボズ・スキャッグスとか、AOR(ADULT ORIENTED ROCK=大人向けロック音楽)の人たちの洋楽がかっこよくて、そのサウンドを目指しました。歌謡曲全盛期でしたが、当時の流行は眼中になかった。今回のアルバム『RAINBOW CHASER』は、あの頃のスタート地点に戻って、もう一回、原点から始めてみようと作り上げました。そういう(シティ・ポップの)サウンドが日本だけじゃなくて海外でも評価されているし、あの頃に作った楽曲を今、自分で聴き直してみて古い感じがしないですから」

 アルバムコンセプトを聞くと、銀次さんは矢継ぎ早に、ポジティブな言葉を繰り出した。「夢」「ファンタジー」「ロマンチック」「ハッピー」…。

 「このところ世の中がなんか殺伐な感じがしてて。表現の世界もリアルになってきているけど、だからこそ、今回は、大上段からロマンチックな音楽をやろうと思いました。歌詞も含めてね。たとえば、ミュージカル俳優のフレッド・アステアは死ぬまで夢みたいなパフォーマンスをやっていた。僕はそういうタイプ。映画『ラ・ラ・ランド』を見て、ああ、現代にもこんなミュージカルがあるんだ、と心が動きました。1分1秒、一日一日を楽しく生きていく、ロマンチックに生きていく」

 「現実は厳しいんですよね。ほんとに。ましてや僕みたいな年齢になってくるとね。『夢はあるのかい』って言われると、うーん…と(黙り込むかも)。でも、今日も生きていかなきゃならない。明日も生きていかなきゃならない。いつか寿命がくる。だから頑張ったってしょうがないだろ、なんて言っているとむなしい日々が続く。生きている間は一生懸命、夢を持って生きていきたい。少しでもハッピーなことを考えて生きたい、と還暦を過ぎて思いました。その先、どうなるかは考える必要はない」

 「今回は口にするのがちょっと恥ずかしいようなことを平気で歌おうと思って。音楽はファンタジーなんですよ。だけど、頭の中で歌詞をつくるわけじゃない。夢っていろいろある。今日よりも明日が自分にとって、何か良くなることだって。長生きしていると、『えっ』というような幸せな出来事があって、新しい世界にも出合えている」

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