伴侶となる本、並ぶ書店 若松で週末開店、流行より質

西日本新聞 北九州版 米村 勇飛

 かつて若松区にあったキャバレー「ベラミ」の旧従業員寮「ベラミ山荘」(同区山ノ堂町)の一室で、週末限定で営業する「ルリユール書店」が少しずつ人気を集めている。10畳一間の小さな店には、はやりの本は多くない。目指すのは「人生の伴侶となる本と出会える場所」だ。

 今年6月に開店。店内には、外国文学や国内外の古典など「大衆受け」しそうにない新刊や古本が並ぶ。書店でよく見掛けるベストセラーはわずかだ。店主の小野菜都美さん(35)=同区=は「刺激的で、読み捨てられるような本ではなく、じっくり何度も読みたくなるような本を選んで置いています」と話す。

 大学院でフランス文学を研究し、現在は市内の大学で非常勤講師も勤める小野さん。元々本が好きで書店にもよく足を運ぶが、「ヘイト本」などの過激な書籍が並ぶ状況には違和感を覚えてきた。加えて、大学生すら外国文学に親しんでいないのが現状。「外国文学を通して、同じ人間としての共感を抱き、視野を広げてほしい」との思いを感じ、開店を決意した。

 店を構えたベラミ山荘は、若松区東部の高塔山中腹に位置し、響灘に面する工場群や関門航路が一望できる。2年前にベラミ山荘の存在を知ってから一目ぼれし、家族の助けも借りて開店にこぎつけた。

 店名にもなったフランス語「ルリユール」は、フランスの伝統的な製本、装丁の技法。ページがバラバラになっても、糸をかがり直すことで何度でも読めるようになることから、一冊を長く愛してほしいという思いを込めた。小野さんは「人生で何度も読まれる良質な本を提供し、読んだ人が世界とつながるきっかけを提供していきたい」と意気込んでいる。

 営業は原則、土日祝日の正午~午後5時。同書店=093(980)5895。 (米村勇飛)

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