直方市、町屋を再生した交流スペース 「囲炉裏」にぎわい創出

西日本新聞 筑豊版 安部 裕視

 直方市新町の町屋を再生したコミュニティースペース「囲炉裏(いろり)」が、ランチやものづくり、グループ学習など多彩なイベントを通じ、市内外からの人々でにぎわいをつくり出している。社会起業家による運営母体「未来区ソーシャルビジネスパートナーズ」の辻千恵さん(42)は「人と人とをつなぎ、思いを実現できる場所にしたい」と語る。

 「囲炉裏」でのイベント開催は11月から本格化し、カレンダーもにぎやかだ。「自分を知る」「自分を生かす」「視野が広がる」-が運営のコンセプト。「未来区」に「区民登録」(年会費5千円、営利目的の利用には別途登録費が必要)すれば、イベントや講座の開催、キッチンを使った調理や販売などが可能だ。

 既存のラインアップとして、廃棄物や不用品をより価値の高いものに作り直す「アップサイクル」や、階層構造によらず全メンバーが目的達成のために個別に意思を決定する「ティール組織」、親子のコミュニケーションなどのワークショップや講座、ランチ営業などが展開する。

 「囲炉裏」そのものが「アップサイクル」で生まれた。建物は築130年の徳永家住宅。周辺には、芸妓(げいぎ)を取り扱う検番があったとされ、建物内部には土間や天井までの吹き抜け、2階部分に手すり付きの回廊、広い座敷などがある。「未来区」が今年1月から改装し、キッチンなどを整えて5月から活用を始めた。

 週に2回、自ら旅して学んだスリランカのカレーを中心にランチを提供しているスパイス料理研究家の内藤直樹さん(31)は「囲炉裏は自己表現ができる場所。お客さんには、スリランカという国に興味を持ってもらう入り口として料理を楽しんでほしいし、料理家としての自分を知ってもらえるよう、おもてなしにも心を込めている」と話す。

 立地は、中心市街地の古町などの商店街から直方谷尾美術館や向野堅一記念館などの大正期や昭和初期のレトロ建築群がある殿町を経て一直線に南へ延びた通り沿い。辻さんは「夢や思いを持つ人がここで何らかの機会をつくり、何らかのスタートをし、何らかのステップを踏む場所にしてほしい」と願う。

 徳永家住宅では、古町商店街で木育スペースを運営する青柳幸枝さん(55)の祖母が10年ほど前まで食堂やたばこ店などを営んでいた。「常に人が集まる場所だった。当時と同じようによみがえったのはうれしい。囲炉裏の活動にわくわくしている」と青柳さん。眠りから覚めた町屋は今、生き生きとしている。 (安部裕視)

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